常連客とおしゃべりしながらレジを打つ店員。ずっと無言だった50代女性客が口を開いた瞬間、空気が一変した
常連客との会話が続くレジ
仕事帰りに立ち寄ったスーパーは、夕方の買い物客で混み合っていました。
私が並んだレジでは、ベテランらしい女性の係が、商品を打ちながら顔なじみのお客さんと話していました。
通路を通りかかった人からも声をかけられ、そのたびに笑顔で応じています。
常連さんに親しまれている係のようでした。
ただ、少し気になったのは、レジに並んでいるお客さんよりも、話しかけてくる人のほうを見ている時間が長いことでした。
私の前にいた女性客も、ちょうど会計をしてもらっているところでした。
「この前はありがとうね。助かったわ」
「いいのよ。また寄ってね」
そんな会話が続く間も、女性客は何も言わず、レジの画面を見つめていました。
やがて係が商品を打ち終えました。
「お待たせしました。こちらになります」
ところが、女性客はすぐには支払いをしませんでした。
会計を確認した女性客の指摘
「すみません。卵、2回入っていませんか?」
女性客は画面を指さしました。
「あと、この牛乳、値引きのシールが貼ってあるんですけど」
「えっ、あ、すみません。確認しますね」
係は慌てて画面を確認しました。
確かに卵が二重に登録され、牛乳の値引きも反映されていなかったようです。
「あら、本当ですね。ごめんなさいね。すぐ直します」
係はそう言って会計を訂正しました。
ところが、女性客はそこで終わりにしませんでした。
「さっきから、ずっとほかのお客さんとお話しされてましたよね」
「あ……はい。すみません」
「お話しするのはいいんですけど、会計中は商品をちゃんと見てほしいです」
女性客は声を荒らげることなく、落ち着いた口調で伝えました。
係は先ほどまでの笑顔を消し、小さく頭を下げました。
「申し訳ありません。気をつけます」
女性客はそれ以上何も言わず、会計を済ませて袋を受け取り、レジを離れました。
その後のレジ係の様子
気づけば、私の後ろにも長い列ができていました。
係は列に向かって「お待たせして申し訳ありません」と頭を下げ、それから私の商品の会計を始めました。
「お待たせしました」
先ほどとは違い、係は一つひとつの商品を確認しながら、黙々とレジを打っていました。
袋詰めの台からふり返ると、次のお客さんにも、その次のお客さんにも、丁寧に頭を下げて対応していました。
常連客と親しく話すこと自体は、悪いことではないと思います。実際、係の明るい対応を楽しみにしている人もいるのでしょう。
ただ、今回のように会計を間違えてしまっては、指摘されても仕方がありません。
一方で、あの女性客の落ち着いた話し方も印象的でした。
大声で怒ることも、長々と説教することもありません。ただ、気になったことをはっきり伝えていたのです。
最初はずいぶん静かな人だと思っていましたが、何も気づいていなかったわけではなかったのでしょう。
あの女性客の静かな一言と、それを聞いた係の表情は、今でも忘れられません。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














