「うちは子ども連れなんだ。もう待てないんだよ」子どもを理由に優遇するよう求める客。だが、スタッフが毅然と対応した結果
二十人ほどの行列で
その日、家族で訪れた遊園地は、朝からたくさんの人でにぎわっていました。
私たちが並んだのは、園内でも一番人気だという乗り物の列です。
前を見ると、ゆうに二十人ほどが順番を待っていました。
のんびり待っていたそのとき、列の前方で、ひとりの男性がスタッフを呼び止めました。
小さな子どもを連れた、身なりのきちんとした父親です。
「どこ行っても並んでる、先に入れてくれよ!」
あとから思えば、その要求はまさにそういうものでした。
これだけの人が待っているのに、自分たちだけ先に通せと言うのですから、驚くほかありません。
私も後ろに並ぶ方も、朝から楽しみにして順番を守ってきたのです。
引き下がらない声
「うちは子ども連れなんだ。もう待てないんだよ」
スタッフが「順番にご案内しておりますので」と頭を下げても、男性は納得しません。
それどころか、声はますます大きくなっていきます。
近くにいた小さな子どもが、その剣幕に驚いて泣きだしそうになっていました。
「この子が疲れてるって言ってるんだ。少しは気をきかせたらどうなんだ」
周りの人たちは、みな黙って下を向いていました。反論すれば角が立つし、かといって割り込みを認めるのも釈然としない。
もやもやした空気が、二十人の列全体に重くのしかかっていたのです。
諭すような案内
そんな重たい空気のなか、対応していた女性スタッフは、あくまで落ち着いていました。
男性の勢いに飲まれることなく、まっすぐに目を見て語りかけます。
「並んでいらっしゃる皆さまも、お子さま連れの方がたくさんいらっしゃいます。順番を抜かすことはできませんが、お子さまが休める場所へご案内しますね」
ずるい要求はきっぱりと退け、それでいて子どもへの心配りは忘れない。
その受け答えに、男性はとうとう返す言葉をなくしたようでした。ばつが悪そうに子どもの手を引き、そそくさと列の後ろへ回っていきます。
その瞬間、待っていた人たちの表情が、目に見えてやわらぎました。
誰かが小さく息をつく音まで聞こえた気がします。理不尽な横やりに屈せず、筋を通してくれたスタッフのおかげで、みんなが胸のつかえを下ろせたのです。
順番どおりに進む列が、この日はとても心地よく感じられました。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














