「お母さんたち、車で出かけちゃった」雨の中、玄関前にいた子供。我慢出来ずにママ友に怒った結果
大雨の朝に立っていた子
入学式で知り合ったママ友のことは、入学早々から周囲に注意されていました。
「あの人とは距離を置いたほうがいい」と何度も言われたのです。
それでも私は、人を噂で判断したくなくて、深く考えていませんでした。
あの日曜の朝までは。
時計はまだ八時前。
土砂降りの中、玄関の前にずぶ濡れの男の子が立っていたのです。彼女の息子でした。
「お母さんたち、車で出かけちゃった」
家に入れず、ひとりで雨の中をうちまで歩いてきたと言います。
とにかく中へ入れて、着替えとタオルを渡しました。
少しして、母親から軽い調子のメッセージが届きました。
「家族で遠出するから預かって」
事後承諾どころか、子を放り込んだあとの一方的な連絡。あまりの身勝手さに、言葉が出ませんでした。
おにぎり一個の昼ごはん
お昼どき、その子がランドセルから小さな包みを取り出しました。中身はおにぎりが一個だけ。
「これ、お昼にって」
家族は遠くで外食して、夜まで帰らない。
なのにこの子だけは、おにぎり一個を握らされて閉め出されていたのです。
私はその子の分も、うちの子と同じ昼ごはんを用意しました。温かいお味噌汁を出すと、両手で椀を抱えて何度もおかわりをします。よほどお腹が空いていたのでしょう。その姿に、胸がつまりました。
子どもに罪はありません。けれど、これを当たり前にしてはいけないと思いました。
夕方、迎えに来た母親は悪びれる様子もありません。
「ほんと助かるわ、また頼んでいい?」
「また」という言葉に、私は静かに首を横に振りました。
託児所じゃないです
「託児所じゃないです」
そう返すと、母親はぽかんとした顔になりました。
「えっ、そんな言い方しなくても」
「約束もなく、雨の日に子を閉め出すのはやめてください」
たまたま庭先に出ていた隣家の人が、玄関先のやり取りを聞いていました。
その人が、こちらに向かって小さくうなずきます。母親は、ばつが悪そうに視線を地面へ落としました。
「子ども同士仲いいから、お互いさまでしょ」と食い下がろうとしましたが、声は尻すぼみに消えていきました。
「次からは、ちゃんとご家族で見てあげてくださいね」
静かにそう告げると、母親は何も言い返せず、子の手を引いて足早に去っていきました。
それからは、彼女がうちに子を押しつけてくることはなくなりました。
道で会っても、決まって先に目を逸らすのは向こうです。
子どもには何の落ち度もありません。だからこそ、その親にだけはきちんと線を引きました。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














