「ガソリンスタンドのお姉ちゃんの髪だ」浮気を繰り返した夫の無理がある言い訳。20年後、夫に下った天罰とは
繰り返された浮気と転職先での再発
夫の女癖は29歳の年に初めて発覚した。泣いて謝った夫を信じて元のサヤに戻ったものの、それから職場を変えるたびに同じ匂いを連れて帰ってくるようになった。
新しい部署、新しい取引先、行く先々で女の気配がついて回った。
40代になって夫は遠方の支店へ単身赴任を命じられた。
私は娘を連れて週末ごとに新幹線で夫の街へ通い、アパートで数日を共に過ごしてから帰る生活を続けた。
表向きは円満な家族のふりをしながら、心の奥では常に疑念がくすぶり続けていた。
20年近い歳月、私はずっとその繰り返しの中で静かに消耗していった。
娘の前では何事もない母でいようと努めた。夫の上着のポケットから知らない名前のレシートが出てきても、深夜に着信履歴を消した形跡を見つけても、私は布団に入って息を殺すだけだった。それを表に出すわけにはいかなかった。
買い物帰りに見つけた一本の髪
ある週末、買い物を済ませて夫の車に戻り、助手席に乗り込んだ瞬間だった。
ダッシュボードの上に長い茶色のウェーブがまっすぐ伸びて残っていた。
夫はそれに気づくと、私の視線を追って一瞬で表情を硬くした。
指でつまんで運転席の窓から外へ放り投げると、振り返らずに弁解を始めた。
「ガソリンスタンドのお姉ちゃんの髪だ。車に乗ってガソリン入れてくれたんだよ」
あまりに苦しい言い訳だった。給油は運転席に座ったままで済む。
なぜ店員が車内に乗り込む必要があるのか、子どもでも気づく矛盾だった。
私は問い詰めなかった。代わりに帰宅後、布団の中で歯を食いしばって願いをかけた。
「腰痛めろ!」
天罰が下りますように、と本気で念じた夜だった。
願いが叶った20年後
それから20年近くが経った。
夫が50代半ばに差しかかった頃、職場で重い物を持ち上げた拍子に腰を抜かして動けなくなった。
診断はヘルニア。
痛みのせいで姿勢を保つことすら困難になり、夜の外出はぱたりと途絶えた。
週に何度も整形外科に通い、コルセットを巻いて生活する日々が始まった。
女の気配は、その日を境に夫の身辺から完全に消えた。
出張も飲み会も激減し、休日はソファで腰をかばって横になる夫がいるだけだった。あの夜の呪いの言葉が、20年越しに正確に届いたとしか思えなかった。
痛みに呻く夫を冷ややかに見つめながら、私はようやく長い緊張が解けるのを感じた。心配のふりも、看病の言葉も出てこなかった。
長い茶色のウェーブの髪の記憶は、今も心の隅で静かに、けれど消えることなく光っていた。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、60代以上・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














