「犬の鳴き声がうるさいのよ!」自宅に届いた謎のクレームの手紙。差出人がわからない恐怖
隣の自治会に間借りで入れてもらった日々
分譲地に家を建てて5年、私たちは正規の自治会に所属できないままだった。
元々の計画では全戸が揃った段階で新しい町内会を立ち上げる予定だったが、土地の販売が滞り、住宅地の半分は更地のままだった。
子どもが小学校に上がる時期になり、地域行事や防災情報、ゴミ集積所の使い方を考えると、町内会への所属は必要だった。
私と夫は隣接する古くからの自治会の班長を訪ね、お願いして仲間に加えてもらった。「外側の住民」として頭を下げての参加だった。
回覧板を回すルートが少し変則になることや、ゴミ当番の負担増を申し訳なく思いながらも、子育て世帯にとって地域とつながる手段はそれしかなかった。
会費はもちろん納めたし、清掃も総出で参加した。
子どもを連れて夏祭りの準備も手伝った。少しずつ顔も覚えてもらえて、立場は弱いけれど居場所はできたと感じていた。
小型犬を迎えた翌月の出来事
ある朝、子どもを送り出してポストを開けると、宛名のない白い封筒が一通入っていた。封を切ると印字された一行だけ。
「犬の鳴き声がうるさいのよ!」
その月、私たちは家族で念願の小型犬を迎えていた。引き渡し後の数日は鳴き声が出ることもあった。だが日中の短時間で、深夜や早朝に吠えさせた覚えはない。
雨戸を閉め、窓は二重にし、近所迷惑にならないよう細心の注意を払っていた。それなのに、匿名の便箋がいきなりポストに突っ込まれていた。
問い合わせても誰も心当たりがなかった
夫に手紙を見せ、隣の自治会の役員さんにも相談した。
「最近、鳴き声の苦情を耳にされた方はいませんか」と。返ってきたのは「うちには何も来ていませんよ」という答えだった。
班長も同じく心当たりなしと首を振った。直接話を持ち込めば対応できるのに、匿名手紙という形だけが残った。
「お宅の犬、可愛いわよね」と笑顔で声をかけてくれる人さえいたから、誰が出したのか余計に見当がつかなかった。
外側から入れてもらった立場の弱さが、私の心を一層重くした。
誰に謝ればいいのかもわからない。犬のしつけ教室を急いで予約し、防音マットを敷き直し、防音カーテンに替えた。
窓まわりの隙間まで丁寧に塞ぎ、犬が寂しがらないよう留守番時間も短くした。やれることはすべて試した。
けれど、差出人不明の一通に「これで十分でしょうか」と確かめる手段はない。あの朝以来、ポストを開けるたび、白い封筒が入っていないかを真っ先に確かめるようになった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














