「夜遅くに洗濯機を回すな!」近所の住人からのクレーム。だが、娘が折り紙を折った瞬間、信じられない行動に出た
インターホン越しに始まった監視
新築マンションの隣には、50代の女性が一人で住んでいた。引っ越しの挨拶では穏やかに笑っていたその人が、最初に詰めてきたのは入居一週間後の朝だった。
「夜遅くに洗濯機を回すな!」
柔らかい口調だが、目はまったく笑っていなかった。
以来、生活音に対するクレームが毎週のように届くようになった。日曜の朝九時に掃除機をかければ「非常識ですよね」
廊下を歩けば「足音が響いてます」
共働きの私と夫は、自宅の中で常に息を潜める暮らしになっていった。
夜の家事を全部やめ、スリッパを厚手に替えた。テレビの音量も最小にし、夫婦の会話まで自然と小声になった。
それでもインターホンは鳴り止まず、対応のたびに半日が潰れていった。
壁を叩いてきた夕方
限界の一歩手前で起きたのが、五歳の娘との折り紙の時間だった。リビングの床に座って色紙を折っていた、ただそれだけの夕方。突然、壁がドンッと強く叩かれた。
娘の顔が一瞬で青ざめる。
玄関に出ると、隣の女性が腕を組んで仁王立ちしていた。怒鳴り声を浴びせて、彼女は乱暴にドアを閉めて去っていった。
その晩、管理会社に通話の記録と日付を全部まとめて提出した。
一週間後、担当者が間に入ってくれた結果、直接のクレームはぴたりと止まった。安堵したのも束の間、別の問題が始まった。
睨む視線だけが残った廊下
クレームの代わりに、彼女は無言の視線を投げてくるようになったのだ。エレベーターで一緒になれば、ずっと横から睨まれる。
ゴミを出しに行けば、玄関のドアスコープがじっとこちらを向いている気配がする。
挨拶をしても返事はない。すれ違うたび、背中に氷の塊を当てられたような感覚が走った。
あれから三年が経ち、もう一度も声をかけられてはいない。それでも私は今でも、皿を置く音や椅子を引く音に体が反射的に固まる。
あの一年で染みついた癖は、家を引っ越した今になっても抜けないままだ。誰も何も言わなくなった部屋の中で、私だけが当時の壁の音を覚えている。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














