「昔、ひどいことを言ってすみませんでした」突如、謝ってきた後輩。1年越しに伝わった私の思いの正体
1年越しに後輩が頭を下げにきた日
朝の始業前、入社2年目を終えようとしている後輩が、改まった様子で私のデスクの前に立ちました。
「先輩、少しお時間いいですか」
普段は明るく、要件もテキパキ済ませてしまうタイプの彼女が、めずらしく言葉を選びながら切り出してきます。
会議の資料でも頼みたいのかな、と顔を上げた瞬間、彼女は息を整えるようにして、深く頭を下げました。そして、こう言ったのです。
「昔、ひどいことを言ってすみませんでした」
「そんなに大変な仕事をやってるんですね」
その瞬間、1年前のあの日のやり取りが、私の頭にぱっと蘇りました。
資料を届けに来た彼女が、私の画面を覗き込んで放った、何気ない軽い一言。
(あの言葉、ちゃんと届いていたんだ)
怒鳴り返したわけでも、嫌味を言ったわけでもありません。
ただ、見えていなかったものを、その場で全部広げて見せただけ。それでも、こうして1年越しに頭を下げに来てくれる人がいる。胸の奥に小さな温かさが灯った、忘れられない朝でした。
あの日、デスクに広げた業務の全部
1年前、彼女は資料を届けに来た私のデスクで、画面を覗き込んで軽く言ったのです。
「先輩の仕事って、楽そうですよね」と。
私は管理職として、資金、生産、会議、人材育成、研修と多方面の業務を抱える日々。
けれど現場の彼女からは、椅子に座って画面を見ているだけに映っていたのでしょう。
(知らないままにしておくのは、お互いのためにならない)
そう判断した私は、その場で1日のスケジュール表、半年分の業務記録、社員ひとりひとりの育成シートまで、引き出しから取り出してすべて広げて見せたのです。
会議3件、面談2件、研修資料の最終確認に、来期の人員計画。一覧を黙って目で追っていた彼女は、しだいに表情をこわばらせていきました。
そして「ありがとうございました」と小さく一言だけ残し、席に戻っていったのです。
あれから1年。彼女は自分の仕事を回しながら、後輩を持つようになり、私の業務の重さを肌で理解してくれたのだと思います。
頭を下げ続ける彼女の肩に、私はそっと手を置いて笑いました。
「気づいてくれて、ありがとう」
聞けば、彼女もこの1年で新人の指導を担うようになり、現場をさばきながら裏側の準備を回す難しさを、自分の身体で実感したそうです。
「私、何も知らずにあんなこと言ってたんですね」
声を絞り出すように続ける彼女に、私は黙って何度かうなずいただけでした。1年越しに届いたまっすぐな言葉に、長く積み重ねてきたものがやっと報われた気がして、目の奥が熱くなった朝だったのでした。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














