
初任給引き上げのシワ寄せに泣く中高年。終身雇用の終焉が生む世代間対立のリアル
日本の高度経済成長と長期雇用を支えてきた「退職金制度」が、今、音を立てて崩れようとしています。
深刻な人手不足と採用難を背景に、王子ホールディングスやタキロンシーアイといった名立たる企業が、退職一時金制度の縮小・廃止へと踏み切りました。
減少した退職金分は初任給や確定拠出年金へ上乗せされ、SMBC日興証券に至っては採用サイトに「退職金前払給を含む」と明記するなど、各社は目先の待遇の良さで若手人材の獲得に奔走しています。
かつては定年まで勤め上げた証であり、老後の生活資金の柱であった退職金が、今や激化する採用競争を勝ち抜くための「原資」として解体されつつあるのです。
この一見合理的な制度改革の裏で、割を食っているのが長年会社に尽くしてきた中高年社員たちです。
若手優遇へと露骨にシフトする賃金体系は、長年の功労者であるベテラン層への配分を薄くし、まるでハシゴを外されたかのような虚無感と怒りを生み出しています。
制度改正の波に翻弄される現場からは、世代間の深い分断を嘆く声が噴出しており、SNS上でも真っ二つに割れる価値観の相違が浮き彫りになっています。
『退職金は本来もらえるべき金を何十年もプールされてお預け喰らっている制度。廃止して昇給と確定拠出年金の資金にする方が合理的』
『退職金なんかよりも先にもらった方が良いに決まってる。転職の時にも会社が倒産した時にも損しなくて済むし自由に運用して稼げるし』
『退職金だけでなく、近年、若手に手厚い賃上げが続き、教育や管理業務で多忙なベテラン看護師からの不満は高まっています』
『退職金廃止とかありえない』
働き方の多様化に伴い、労働報酬を後払いにする古いシステムが制度疲労を起こしているのは紛れもない事実です。
また、勤続20年を超えると税負担が軽くなる現行の退職金税制自体も、流動的な労働市場への足かせとなっており、国レベルでの是正が急務とされています。
企業が限られた人件費の中で成長を続けるためには、人材獲得への投資は至上命題です。
しかし、若手獲得という目の前の課題を優先するあまり、中高年層を冷遇するような強引な制度変更を進めれば、それは巡り巡って組織の根幹である「信頼」を破壊することになりかねません。














