第1章:「最近、送迎したがるよね?」
うちの夫は、育児に協力的な方だったと思う。
長男が3歳で幼稚園に入園してからは、
「俺が送り迎えするよ」
と、率先して動いてくれていた。
最初はありがたかった。
朝のバタバタから解放され、私は下の子の世話に集中できたし、
「イクメンだなあ」なんて思ってた。
…でも、ある日ふと気づいた。
あれ?送り迎え、楽しみすぎじゃない?
第2章:「先生の名前、妙に詳しいよね?」
ある日、ふと聞いた。
「最近の○○先生、どう?」と。
何の気なしに。
すると夫は、
「髪、ばっさり切っててさ〜」
「〇〇大学出身なんだって」
「来週、主任になるらしいよ」
……私より知ってるじゃん。
ていうか、それ、どこ情報?
そのときの胸のざわつきは、見て見ぬふりをしてしまった。
第3章:「LINEの通知、“たまたま”見えた夜」
それは、ある夜のこと。
寝室で子どもを寝かしつけているとき、夫のスマホがリビングで鳴った。
なんとなく目に入ったLINEの通知。
「また会えるの、楽しみにしてます😊」
送り主:園の先生の名前。
息が止まりそうだった。
第4章:「問い詰めた夜、彼は言った」
スマホを握りしめ、震える手で彼に問いただした。
「これ、なに?」
一瞬、固まる夫。
その後、何かが崩れるように白状した。
「…ごめん。ほんの出来心だった」
「園の行事とかで話すうちに、なんとなく…」
「でも、真剣じゃない。遊びだったんだ」
遊び?
子どもの通う園の先生と?
私たちの家庭を揺るがすほどのことを?
言葉が出なかった。
第5章:「園に伝えるべきか、迷った」
この件を、幼稚園に伝えるべきか。
正直、迷った。
でも私が大事にしたのは、子どもの園生活だった。
もし園で騒ぎになったら、息子に影響が出る。
先生は異動になるかもしれないし、子ども同士の噂も心配。
結局、園には何も言わず、
夫には実家に1ヶ月の別居を命じた。
第6章:「信頼は、ゼロにはならないけど」
今、あれから半年が経った。
夫とはカウンセリングに通い、少しずつ再構築をしている。
正直、まだ完全には許せていない。
でも子どもと過ごす日々を守りたかった。
それが私の答え。
あとがき:「家族って、脆くて、でも強い」
この話を読んで「そんなことあるの?」と思う人もいるかもしれない。
でも、夫婦の裏切りは、ある日突然やってくる。
しかも、一番身近な日常の中で。
この体験が誰かの「違和感を見逃さないきっかけ」になれば嬉しい。
家族を守れるのは、たった一人の“あなたの勘”かもしれないから。