
ダウンタウンDX、反響は?
1993年から続いてきた長寿バラエティ番組『ダウンタウンDX』(読売テレビ制作、日本テレビ系)が、2025年6月26日放送回をもって最終回を迎えた。放送回数は1,383回、ゲスト延べ1万人以上──約32年という驚異的な継続を記録した番組が、意外なかたちで終止符を打った。
主役不在の最終回、視聴者の困惑
最終回は、ダウンタウンの2人(浜田雅功・松本人志)が一度も登場せず、代わりに過去に出演経験のあるタレントたちが4台の車に分乗し、番組の思い出を語るという構成。
番組冒頭では、拍手の中でスタジオの幕が開き、シルエットが映し出される演出があったものの、CM後にはそれがトリックだったとわかり、以降は車内トークへ。
SNSでは、
「最後まで浜ちゃんも松ちゃんも出ないなんて…」
「名場面集を期待してたのに」
「ダウンタウンDXって、こんな静かに終わる番組だったの?」
と、不満や肩すかしの声があふれた。
番組の公式Xも、最終回前にスタジオセットが撤去される動画を投稿しており、ファンの間では「何かあるのでは」と期待が高まっていた。だからこそ、主役不在のまま“静かに”終わったことへの落胆は大きかった。
それでも忘れられない「神回」たち
32年という歳月の中で、『ダウンタウンDX』は数多くの名場面と“化学反応”を生み出してきた。その一部をここで振り返りたい。
「芸能人の自宅紹介」企画
DAIGOの生活感ゼロの部屋、IKKOのゴージャス風水空間、叶姉妹の“まるで美術館”な豪邸など、テレビで初めてその全貌が明かされる「自宅紹介」は、毎回トレンド入りするほどの人気企画だった。
大御所×若手の“バトル”
ビートたけしや明石家さんまらと若手芸人が共演した回では、鋭いツッコミと緊張感の中での爆笑が巻き起こった。若手が思い切った暴露をすることで、予想外の化学反応が起こるのが「DX」らしさだった。
“NG無し”の本音トーク
暴露、恋愛、失敗談……どんな話題も許される空気感が「DX」最大の武器。坂上忍が過去のギャンブル癖をさらけ出した回や、藤田ニコルが恋愛観をぶっちゃけた回は、ファンの間でも「永久保存版」と言われた。
ダウンタウン不在の未来、そして視聴者の思い
2024年から松本人志が活動休止、2025年3月には浜田雅功も体調不良で休養。5月には浜田が復帰したものの、以降も代打MC体制が続いていた。だからこそ最終回での2人の登場を期待する声が多かったが、その願いは叶わなかった。
それでも、番組が残してきた功績は確かである。
「芸能人が素を見せるバラエティ」の先駆け
今でこそ当たり前となった“赤裸々トーク”だが、90年代にこれを全国区で展開した番組は稀だった。『ダウンタウンDX』は、芸能人の「人間らしさ」をお茶の間に届けてきた番組だった。
最終回の演出と番組の「終わり方」
番組ラスト、エンドロールには「放送回数1,383回、ゲスト1万人」と表示され、ナレーションもなく番組は静かに幕を下ろした。騒がしくもあり、温かくもあった『ダウンタウンDX』の最終回としては、あまりに“静かすぎる終わり”だったかもしれない。
しかし、それが“今のテレビらしさ”でもあるのだろう。