モヤモヤする後輩からのLINE
都内のメーカーで事務をしている29歳です。
これは先日、ある後輩男子との間で起きた忘れられない出来事です。
金曜の夜22時。
月末の締め作業に追われ、私は一人静まり返ったオフィスに残っていました。
ふと、先に帰宅した入社2年目の後輩からLINEが届きました。
後輩:「お疲れ様です。先輩、まだ会社に残ってますか?」
気にかけてくれているんだと嬉しくなり、私はすぐに返信しました。
私:「うん、終わらなくて。みんなの分の入力作業、全部終わらせてから帰るね」
「手伝いましょうか」という言葉を期待していましたが、既読がついた直後に届いたのは予想外の言葉でした。
後輩:「その仕事、他の人でもよくないですか?」
えっ……?
本来なら彼らがやるべき作業を、私が気を利かせて引き受けたのに。
「他の人でもいい」なんて、まるで無駄なことをしているような言い草です。
私は返信する気になれず、モヤモヤしたまま帰宅しました。
優しさの裏返し
週明けのランチタイム。
私は彼を呼び出し、たまらず問い詰めました。
「あのLINE、どういう意味? 私がやってることは無駄だって言いたいの?」すると彼はキョトンとして言いました。
「だって先輩、本来やるべき来期の企画書が止まってたじゃないですか」
「え?」
「あの入力作業は僕ら新人でもできます。でも、大事な提案書は先輩にしか書けません。貴重な時間を、誰でもできる作業で消費してほしくなかったんです。もっと僕らをこき使ってくださいよ」
頭をガツンと殴られた気がしました。
私は「先輩だから」と抱え込み、勝手に被害者ぶっていただけ。
彼の言葉は、不器用な彼なりの「敬意」だったのです。
「……ごめんね、ありがとう」
素直に伝えると、彼は照れくさそうに笑いました。
言葉足らずなメッセージの裏にある優しさに気づき、それ以来、私は少しだけ周りを頼れるようになりました。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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