「これじゃ使えないよ。方向性がズレてる」と提出した資料を見ずに返す上司。だが、役員会議で上司が見せたのは…
資料を見てくれない上司
「部長、例のプロジェクトの資料、完成しました。かなり時間をかけてデータを洗ったので、自信作です」
高鳴る胸を抑え、分厚い束をデスクへ。
連日の残業で練り上げた、渾身の企画書。
しかし、返ってきたのは冷ややかな反応でした。
表紙をパラパラとめくっただけで、大きなため息一つ。
「……うん、なんか違うな。これじゃ使えないよ。方向性がズレてる。やり直して」
「えっ……?でも、この数値の根拠は前回の会議で……」
「いいから。もっとこう、パッと見てわかるようなのが欲しいんだよ。これじゃあ響かない」
中身をほとんど見ていないのは明らか。
湧き上がるモヤモヤとした感情。
あんなに時間をかけたのに、否定されるのは一瞬……。
「わかりました」と力なく下がるしかありませんでした。
見てくれていたのは
転機は数日後。
別の部署の役員と廊下ですれ違った時のことです。
「あ、君。この前の資料、見たよ」
「え?資料ですか?」
「うん、共有フォルダに入ってたやつ。あの市場分析、素晴らしいね。実は昨日の役員会議で使わせてもらったんだよ。おかげで話がスムーズに進んだ」
「本当ですか!ありがとうございます、見ていただけて光栄です」
捨てられたと思っていた仕事が、まさか別の場所で評価されていたとは。
「見てくれている人はいる」。
鬱屈した気持ちが一気に晴れ渡るような瞬間でした。
喜びも束の間
しかし、その安堵も束の間。
直後に目撃した光景に、私は言葉を失います。
「今回の役員会議、大成功だったよ。やっぱり俺の読み通り、あのデータが決め手だったな」
得意げに部下たちへ語る、あの部長の姿。
「『こういう根拠があるんです』って説明したら、社長も納得してくれたよ」
手元のスクリーンに映し出されていたのは、なんと私が作り、彼が「使えない」と切り捨てたはずのあの資料。
「……え?」
わが耳を疑う事態。
彼は何食わぬ顔で、私の資料を「自分の成果」として語っていたのです。
怒りというより、背筋が凍るような感覚。
自分の保身のためなら、他人の成果も平気で利用し、過去の発言さえなかったことにできる。
そんな人間の「闇」を垣間見た気がしました。
以前の私なら、感情的になっていたかもしれません。
でも、この一件は私に大切な教訓を与えてくれました。
「ただ黙って飲み込むだけじゃダメだ。根拠があるなら、その場でしっかり伝えないと」
あの時、もっと食い下がっていれば、結果は違っていたはず。
すぐに「スカッとする」結末ではありませんでしたが、仕事への向き合い方を根本から見直すきっかけに。
「あの経験も、無駄じゃなかったな」
今ではそう思える自分がいます。
理不尽なことは多いけれど、自分の仕事に誇りを持ち、言うべきことは言う。
60代になった今、ようやく仕事の本当の難しさと面白さがわかってきた気がします。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、60代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














