「絶対に、電話には出ない」で有名な職場の先輩。だが、我慢できずに無理やり電話を取らせた結果
電話にでない先輩
「プルルルル……プルルルル……!」
静まり返ったオフィスに鳴り響く、けたたましい着信音。
私はパソコンのキーボードを叩く手を止め、反射的に受話器へ手を伸ばします。
「お電話ありがとうございます!株式会社〇〇でございます」
丁寧に応対し、メモを取り、担当者へ取り次ぐ。
受話器を置いたその瞬間、また次のコールが鳴り響く。
まさに戦場のような忙しさです。
しかし。
私の斜め向かいには、「別の世界」に住んでいるかのような人物がいました。
その先輩(女性)は、社歴も長く、仕事の要領も悪くないはずのベテラン。
ですが、彼女にはたった一つ、不可解な鉄の掟がありました。
「絶対に、電話には出ない」
これです。
どんなに電話が鳴り響いていても、彼女のデスクだけは「無音」であるかのような振る舞い。
ある日の午後。
その日は特に問い合わせが多く、私を含めた若手社員は全員電話にかかりきりでした。
「申し訳ございません、ただいま担当の者が……」
「はい、折り返しご連絡いたします!」
右も左も謝罪と対応の嵐。
そんな中、ふと先輩の方を見ると……。
「でね、そのカフェのパンケーキがすっごく美味しくて〜」
「え〜! 行きたいです〜!」
……雑談してる!?
隣の席の後輩を捕まえて、優雅に昨日の休日の話。
目の前で電話が鳴っているのに、完全に「BGM」扱いです。
見かねた私が、保留ボタンを押して声をかけようとしたこともありました。
「あの、先輩。電話が鳴り止まなくて……」
すると先輩、サッと手元のクリアファイルを手に取り、パタパタと仰ぎながら一言。
「あ〜ごめんね。今ちょっと、この書類の整理で手が離せなくて。お願いできる?」
(いや、今パンケーキの話してましたよね!?)
急ぎでもなんでもないファイルの整理を理由に、断固拒否。
この職場、1日に2、30件は電話が来るんです。
私が勤めた3年間、先輩が自ら受話器を取った姿を見たのは、片手で数えるほど。
ある意味、その強靭なメンタルには感服するレベルでした。
転機は突然
しかし、「その時」は突然訪れます。
あまりの忙しさに、ついに誰も電話に出られない状況が発生。
それでも鳴り続けるコール音。
先輩は……やっぱり、見て見ぬふりで爪を眺めています。
私の中で、何かがプツンと切れました。
そして、先輩の目の前まで歩み寄り、満面の笑みでこう言ったのです。
「先輩!皆『仕事で』手が離せないので!お願いします!」
オフィス中に響く私の声。
逃げ場を失った先輩。
周りの視線も一斉に集まります。
「え、あ……う、うん」
さすがにバツが悪かったのか、引きつった笑顔で受話器を受け取る先輩。
久しぶりの電話対応だったからでしょう。
「あ、あ、お電話ありがとうございますぅ……あ、えっと、少々お待ちを……!」
しどろもどろになり、慌てふためくその姿。
その日一番の「お仕事」をしている先輩を見て、私の胸のモヤモヤは一気に晴れ渡ったのでした。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














