「動画なんて3分撮っても、あとからそんなに見ないから」新婚旅行で訪れた夜景スポット。案内に夫婦が思わず笑った
新婚旅行で楽しみにしていた夜景
新婚旅行の行き先を決めるとき、有名な夜景スポットへ行くことだけは、いちばん先に決めていました。
写真で見た景色がとてもきれいで、私は勝手に、夫と二人で静かに眺めるような場所を想像していたのです。
ところが、展望スペースへ着くと人でぎっしり。手すりの前には三列ほど人が重なり、後ろからでは前の人の頭しか見えません。
私たちも携帯を手に、その列へ並びました。
混雑していたため、周囲には何度も案内の声が流れていました。
「少し撮ったら、すぐ次の人に譲ってください」
しばらくすると、こんな言葉も聞こえてきます。
「動画なんて3分撮っても、あとからそんなに見ないから」
きつい言い方ではなく、混雑を少しでもスムーズにしようとしているのが伝わる声でした。
隣を見ると、夫が少し笑っています。私も思わず顔を見合わせて笑ってしまいました。
やっと目の前に広がった夜景
列は少しずつ進み、ようやく私たちも手すりの前まで来ました。
目の前には、街の明かりが一面に広がっています。
遠くまで続く光を見た瞬間、思わず息をのみました。
私たちも携帯を持ち上げ、写真や動画を撮りました。
ただ、画面の中に収めると、目の前で見ている景色とは少し違います。
光は小さな粒になり、遠くの明かりはにじんでいました。
「入りきらないね」
夫はそう言って、携帯から目を離しました。
私たちは手すりの前に出てから三分ほどで撮影を終え、後ろに並んでいた人たちへ場所を空けました。
「どうぞ、空きました」
後ろにいた人たちが前へ進み、また次の人が携帯を構えます。そうやって少しずつ人が入れ替わっていきました。
何年たっても残っていたのは
帰り道、夫がぽつりと言いました。
「何度も同じ案内が流れてたね」
「うん。でも、あれくらい言わないと回らないんだろうね」
私もそう返しながら、さっきまで見ていた夜景を振り返りました。
あれから何年か経ちました。
あの日撮った夜景の動画は、帰りに一度見返しただけです。映っていたのは揺れる光の粒と、周囲の話し声、それにときどき入る私たちの笑い声でした。
それなのに、今でも妙にはっきり覚えているのが、展望スペースで何度も聞いた案内の声です。
旅先できれいな景色を前にすると、つい携帯を構え続けそうになることがあります。そんなとき、ふとあの言葉を思い出します。
写真や動画を残すのもいいけれど、目の前の景色を見る時間も忘れないようにしよう。新婚旅行で見た夜景と一緒に、そんな感覚まで記憶に残っています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














