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2026.09.26(Sat)

「先週は3回も残業してたよね」その3日とも休みだった先輩が、休憩室のドアを開けた夜

「先週は3回も残業してたよね」その3日とも休みだった先輩が、休憩室のドアを開けた夜

親切な先輩との、少し近い距離

30代になってから、僕は夜のスーパーで品出しのアルバイトを始めた。

右も左も分からない僕に、商品の場所や値札の見方を丁寧に教えてくれたのが、同じ時間帯に入ることの多い男性の先輩だった。

シフトが重なるうちに、仕事以外のことも話すようになった。ある日、先輩が何気なく聞いてきた。

「休みの日って、どこか出かけたりするの?」

「いや、ほとんど家にいますよ」

すると先輩は少し笑った。

「そうなんだ。日曜、駅の北側にいたよね。見かけたからさ」

「ああ…いましたね」

「俺も近くにいたんだよ」

その日の行き先は誰にも話していなかった。ただ、実際に見かけたのなら不思議ではない。僕は偶然だろうと思い、その場では気にしないことにした。

休みだった日のことまで知っていた

その週の終わり、閉店後の片づけをしていると、買い物かごを重ねていた先輩がふいに言った。

「先週、3回も残業してたよね」

「え、そうでしたっけ」

とぼけて返したが、先輩はもう一度、同じことを口にした。

「3回してたよね」

言われて数えてみると、確かに3回だった。

そこで、妙なことに気づいた。その3日とも、先輩は休みだったのだ。

どうして知っているのだろう。

ひとりになった休憩室で開いたドア

その夜、休憩室で上着を取っていると、大学生のアルバイトの男の子に声をかけられた。

「先輩に、何か言われてました?」

「先週3回も残業してたよねって」

「へえ……よく覚えてますね」

彼が帰ったあと、僕は休憩室の椅子にひとりで座った。缶コーヒーを半分ほど飲んだころ、不意にドアが開いた。

先輩だった。

「あ、いた。探したよ」

一瞬、身体がこわばった。

けれど先輩は、明日の搬入について伝えに来ただけだった。説明はいつもどおり丁寧で、話し終えると「じゃ、お疲れさま」と出ていった。

その後も、先輩から何かをされたわけではない。仕事では変わらず親切に教えてくれるし、僕も今も同じ店で働いている。

それでも、あの残業回数をどうして知っていたのかは分からないままだ。

休憩室のドアが開くたび、僕は今でも反射的に顔を上げる。

今夜、入ってきたのは別の人だった。それを確認してから、ようやく手の中の缶コーヒーを口へ運んだ。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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