「廊下の自転車と段ボールで、車いすが通れない」管理会社が確認後、住人へ伝えた片づけのお願い
車いすが止まった朝
出勤しようと玄関を出た朝、同じ階に住む高齢の女性の車いすが、廊下の途中で止まっていました。
その先には子ども用の自転車が1台と、つぶしていない段ボールが3つ。
壁際にはベビーカーも置かれていて、通れる幅がかなり狭くなっています。
「おはよう。ここ、通れなくてね」
「ちょっと待ってください。よけますね」
私は自転車を壁側へ寄せ、段ボールを持ち上げて通り道を作りました。女性は車輪を何度か切り返しながら、ゆっくりとその横を抜けていきます。
「ありがとう。自分で通れると思ったんだけどね」
「いえ。でも、これは狭いですよね」
物が置かれていたのは、廊下のいちばん奥の部屋の前でした。私も帰宅するとき、荷物を抱えたまま体を横にして通ることがあります。
私はそれまで「少し邪魔だな」と思う程度でした。しかし、車いすが実際に通れないのを目の前で見て、放っておけなくなりました。
昼休み、管理会社に電話をかけました。
「廊下の自転車と段ボールで、車いすが通れないんです」
担当者は状況を確認したあと、「一度、現地を確認します」と答えました。
「誰かを責めたいわけじゃないんです。ただ、普通に通れるようにしてもらえれば」
管理会社から出された片づけの通知
3日後、40代くらいの男性の担当者がマンションを訪れました。
担当者は廊下の幅や置かれている物を確認し、エレベーター前に一枚の張り紙を貼りました。
来月に消防点検があること、共用廊下は避難時にも使う場所であること、置いてある私物は今月末までに室内などへ移動してほしいことが書かれていました。
その後、担当者は奥の部屋のインターホンを押しました。出てきたのは40代くらいの女性で、足元には小さな子どもがいました。
「すみません。自転車、置くところに困っていて…」
「お子さん用の駐輪スペースが空いています。場所をご案内しますね」
担当者はそう答えたあと、廊下を見ながら続けました。
「ここは、車いすの方も通りますので。通路は空けていただけますか」
女性は段ボールのほうを振り返りました。
「……そこまで考えていませんでした。すみません」
週末の朝、廊下から段ボールをたたむ音が聞こえてきました。女性は家族と一緒に自転車を駐輪場へ運び、ベビーカーも玄関の中へ片づけていました。
月曜日には、廊下の床が端から端まで見えるようになっていました。
その日の夕方、帰宅すると、あの女性が車いすで廊下を進んでくるところでした。今度は途中で止まることなく、まっすぐ進んできます。
「通りやすくなったわね」
そう言って笑う女性の横で、奥の部屋のドアの隙間から、小さな子どもがこちらに手を振っていました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














