「え、袋ってお金かかるの?」延々と文句を言われ続けた私。後日、お客様相談室の係員から聞いた一言とは
「え、袋ってお金かかるの?」
百貨店のレジで働いていたころのことです。
買い物袋が有料になってから、私は会計のたびに決められた案内をしていました。
その日も、男性のお客様が商品を持ってレジへいらっしゃいました。
「お買い物袋は有料になりますが、お持ちですか?」
すると男性は少し眉を寄せました。
「え、袋ってお金かかるの?」
「はい、有料になっております」
「じゃあ、いいよ。いらない」
少し不満そうには見えましたが、それ以上のやり取りはありませんでした。私は商品をそのままお渡しし、男性も売り場を離れていきました。
ところが、しばらくして男性が戻ってきたのです。隣には、お客様相談室の係員の方がいました。
男性は私を見るなり、声を強めました。
「この人なんだけどさ。袋が有料だって言うんだよ。前に来たときは、普通に入れてくれたんだけど?」
私は驚きましたが、先ほどのやり取りを係員の方に説明しました。
「有料であることをご案内して、袋をお持ちか確認しました。お客様からは『いらない』と伺っています」
すると男性はすぐに口を挟みました。
「だから、その有料っていうのがおかしいって言ってるんだよ」
「ほかの店では取られなかったよ」
男性の不満は、そこからなかなか収まりませんでした。
「この前はそんな説明されなかったし」
「ほかの百貨店では取られなかったよ。なんでここだけなんだ?」
私が何か答えようとすると、係員の方がさりげなく間に入ってくれました。
「お話は分かりました。まず、こちらの店員がどのようにご案内したか確認させてくださいね」
男性はまだ納得していない様子でしたが、係員の方は声を荒らげることなく、ひとつずつ説明していきました。
「現在、当店ではお買い物袋は有料です。レジでは皆さまに、袋が必要かどうかを確認するようにしています」
「でも、前は入れてくれたんだよ」
「そのときの状況までは分かりませんが、少なくとも本日のご案内は、当店で決められている内容です」
そう言われると、男性は少し黙りました。
それでも「なんだかなあ」とつぶやきながら、最後は謝ることなく売り場を離れていきました。
私は間違ったことをしていないはずなのに、胸の奥がざわざわしていました。
すると係員の方が、私の顔を見て言いました。
「びっくりしましたよね。でも大丈夫です。ちゃんと決められた案内をしていますから」
その一言に、張りつめていた気持ちが少しほどけました。
数日後、係員から聞いたこと
数日後、その係員の方が売り場へ来ました。
「この前のお客様、覚えてます?」
「はい。もちろん覚えています」
「実は、相談室に電話があったんです」
思わず身構えました。また何か言われたのかと思ったからです。
しかし、係員の方は少し笑って続けました。
「ほかの店でも袋は有料だったそうです。『自分の思い違いだった。悪かったね』って」
私は思わず、「そうだったんですね……」と息を吐きました。
すると係員の方は、念を押すように言いました。
「だから、レジ袋の案内は、間違っていませんね」
その言葉を聞いて、ようやくあの日の引っかかりが消えた気がしました。
接客をしていると、決まりどおりに案内していても、お客様の記憶や受け取り方との違いから行き違いが起きることがあります。
それでも、必要なことを落ち着いて伝える。その大切さを改めて感じた出来事でした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














