「まだかかるの?ちょっと急いでるんだけど」謝り続けた店員。だが、後ろの客がかけた言葉に救われた瞬間
何度かざしても、カードが読み取れなかった
去年の秋、仕事帰りにドラッグストアへ寄ったときのことです。夕方の六時半ごろで、レジには三人ほどが並んでいました。
私の前では、中年の男性客が会計をしていました。若い女性店員がポイントカードを読み取り機にかざしていましたが、なかなか反応しません。
一度かざし、向きを変えてもう一度。それでも画面は切り替わりません。少なくとも私には、店員の操作というより、機械の反応が悪いように見えました。
店員がもう一度試そうとしたとき、男性が少しいら立った声を出しました。
「まだかかるの?ちょっと急いでるんだけど」
店員はすぐに頭を下げました。
「申し訳ございません。もう一度確認します」
それでも読み取れず、店員がカードを持ち直すと、男性の声がさらに大きくなりました。
「何回やるんだよ。ちゃんとしてよ」
「申し訳ございません」
店員の声が少し震えているのが分かりました。男性が急いでいたことは事実なのでしょう。ただ、目の前で何度も謝る店員を見ていると、私も落ち着かない気持ちになりました。
後ろで見ていた客が、静かに声をかけた
そのとき、男性のすぐ後ろに並んでいた客が口を開きました。
「後ろで見てましたけど、機械の調子が悪いだけですよ。そんな言い方しなくてもいいんじゃないですか?」
責めるような言い方ではありませんでした。ただ、目の前で起きていることをそのまま伝えるような口調でした。
男性は少し黙ったあと、「いや、急いでたから」と小さな声で返しました。
それ以上、店員を責めることはありませんでした。
店員は一度息を整えるようにしてから、もう一度カードを読み取り機にかざしました。すると今度は短い電子音が鳴り、画面が切り替わりました。
「お待たせいたしました」
男性は会計を済ませると、そのまま店を出ていきました。
次に私の番になったとき、店員はいつもの接客に戻ろうとしていましたが、まだ少し表情が硬く見えました。
商品を差し出しながら、私は思わず声をかけました。
「さっき、大変でしたね」
店員は一瞬驚いた顔をしてから、「すみません、お待たせしてしまって」と頭を下げました。
「いえいえ、大丈夫ですよ」
そう返すと、店員は少しだけほっとしたように笑いました。
大きな声で言い返したわけでも、誰かをやり込めたわけでもありません。それでも、ずっと後ろで状況を見ていた人の一言で、張りつめていたレジの空気が少しだけ変わったように感じた出来事でした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














