「うちはね、値引きされたものはあまり買わないの」レジで得意げに話す客。だが、後ろの客との会話に思わず笑った瞬間
会計中、常連客が話し始めたこと
スーパーでアルバイトをしていたころのことです。
夕方になると、仕事帰りのお客様が増え、レジには何人かずつ列ができていました。
その日、私のレジに並んだのは、夕方によく見かける常連のお客様でした。
かごの商品を一つずつ読み取っていると、その方が何気ない調子で話しかけてきました。
「うちはね、値引きされたものはあまり買わないの」
続けて、少し得意そうに笑います。
「できるだけ新しいものを選ぶようにしてるのよ」
私は「そうなんですね」と答えながら、手を動かし続けました。
もちろん、どういう商品を選ぶかはお客様それぞれです。ただ、店員の私にどう返してほしいのだろうと少し迷いました。
値引きされた商品を買うことが悪いわけでもありませんし、正規の価格で買うことが特別なわけでもありません。
それ以上話を広げることもできず、私はそのまま会計を続けました。
後ろから聞こえた、明るい一言
すると、次に並んでいた年配の女性が、かごを台に置きながら笑って言いました。
「私は逆に、割引シールがあると選んじゃうわ」
あまりにも自然な言い方だったので、私は思わず顔を上げました。
女性は続けます。
「今日食べるものなら十分だし、いいものを見つけるとうれしくなるのよ」
誰かを否定するような言い方ではありません。ただ、自分はこうしていると楽しそうに話しただけでした。
最初のお客様も一瞬驚いたように後ろを振り返りましたが、やがてふっと笑いました。
「あなた、正直ね」
「だって、お得だとうれしいじゃない」
そのやりとりを聞いて、私もつい笑ってしまいました。
どちらが正しいと決めなくてもいい
最初のお客様は「そういう買い方もあるわね」と言って会計を済ませ、そのまま帰っていきました。
次の女性のかごを見ると、割引シールの貼られたパンや総菜がいくつか入っています。
「今日はいいのが残ってたのよ」
そう言ってうれしそうに笑う姿を見て、私も「よかったですね」と返しました。
新しいものを選びたい人もいれば、値引きされた商品を上手に買いたい人もいます。どちらが正しいと決める必要もありません。
ただ、自分とは違う買い方をあっけらかんと話した女性の一言のおかげで、少し返答に困っていた私の肩の力まで抜けました。今でも割引シールを見ると、あの日の明るいやりとりを思い出します。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














