「夏になると虫が増えて困っています」3年続いた隣の空き家の雑草。しかし、引っ越しまで考えた僕が取った行動とは
引っ越しまで考えた、3度目の夏
一戸建てに住んで十年あまりになります。隣の家が空き家になってから、もう何年もたっていました。
庭はほとんど手入れされておらず、植物は伸びたまま。
枝やつるが境の塀を越えて、うちの庭まで入り込むこともありました。
とくに気になったのが夏です。
庭に出ると虫を見かけることが増え、バッタが何匹も跳ねている日もありました。
多い日には10匹ほど数えたこともあります。虫が苦手な僕には、それだけでもかなりの負担でした。
ある朝、娘に呼ばれました。
「お父さん、またバッタ。玄関のところにいるよ」
見に行くと、靴箱の前に一匹止まっています。外へ出しながら、僕は思わずため息をつきました。
「これで3年目か…」
娘は少し不安そうな顔で聞いてきました。
「うち、引っ越すの?」
「まだ決めてないよ」
そう答えましたが、実際には住まい探しのページを何度も開いていました。
近所で相談して送った一通
そんなある朝、ごみ出しの場所で近所の人たちと話していると、空き家の庭のことで困っているのは、うちだけではないと分かりました。
二軒先のご主人が言いました。
「一度、町内会長さんに相談してみませんか」
70代くらいの会長さんは、空き家の持ち主が遠くに住む50代くらいの息子さんだと知っていました。
「いきなり責めるような書き方はしないほうがいいでしょうね。困っていることを、そのまま伝えましょう」
そこで僕たちは庭の写真を撮り、困っている家の名前を添えて、一枚の手紙にまとめることにしました。
最後には、みんなで相談してこう書きました。
「庭の草が伸びた状態が続き、夏になると虫が増えて困っています。こうした状態が3年ほど続いています」
町内会から手紙を送ってもらいました。
2週間後、空き家の前に車が止まった
それから2週間ほどたった日、空き家の前に一台の車が止まりました。
降りてきた男性は庭を見回したあと、うちへやって来ました。手には、送った手紙を持っています。
「遠くに住んでいて、なかなか家の様子を見に来られなくて……。ご迷惑をかけて、すみませんでした」
男性はそう言って、頭を下げました。後ろで様子を見ていた会長さんが、穏やかに声をかけます。
「来てくださってよかったです。みんな、それだけでも安心しますよ」
その週のうちに業者さんが入り、伸びていた草はきれいに刈られました。息子さんは、これからは年に3度、庭の手入れを頼むと話してくれました。
その夏は、以前のように何匹ものバッタを庭で見かけることもほとんどなくなりました。
ある夕方、娘が麦茶を二つ持ってきて言いました。
「引っ越さなくてよかったね」
「そうだな」
僕は麦茶を受け取りながら、短く刈られた隣の庭を眺めました。困っていても言い出せずにいた3年間。近所の人たちと相談し、落ち着いて伝えたことで、ようやく状況が動いたのでした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














