「そこまで見られてるのかな」下の階から布団の苦情。会ったことのない住人が知っていた洗濯の曜日
布団の干し方について届いた連絡
結婚してすぐ、夫とアパートの2階で暮らし始めた。
日当たりがよく、晴れた日にベランダの手すりへ布団をかけて干すのが、私のささやかな楽しみだった。
ある週末、夫の電話に管理会社から連絡が入った。
夫は何度か相づちを打ちながら、ベランダのほうへ目をやった。
「下の階の方から、布団が垂れてきて部屋が暗く感じるというお話がありまして」
「わかりました。気をつけます」
電話を切ったあと、夫からそう聞いて、私は急に恥ずかしくなった。自分では気づいていなかったが、下の階から見れば気になっていたのかもしれない。
次に干すときから、布団の外側を短く、内側を長くして、下へ垂れすぎないようにした。
「これなら大丈夫だよね」
「うん。十分気をつけてると思うよ」
夫はそう言ったが、それから私は布団を干すたびに、手すりの下を確認するようになった。
下の階の人とは、まだ一度も顔を合わせたことがない。引っ越してきた日にお菓子を持ってあいさつに行ったものの、チャイムを鳴らしても返事はなく、玄関前に置いて帰ってきたきりだった。
2度目の電話で告げられた曜日
半月ほどたったころ、また管理会社から電話があった。今度は私が出た。
「先日の布団の件なんですが、もう少し短く干していただけないか、とのことでして」
「まだ長いですか…。わかりました」
そこで担当者が少し言いにくそうに続けた。
「それと、火曜と金曜は洗濯物の量が多い、ともおっしゃっていました」
「火曜と金曜、ですか?」
思わず聞き返した。火曜と金曜は、私のパートが休みの日だ。その2日にまとめてシーツやバスタオルを洗っているのも事実だった。
電話を切ったあとも、その言葉だけが頭に残った。
布団の長さなら、下の階から見れば分かる。
でも、洗濯物が多い曜日まで覚えられていたことに、少し落ち着かない気持ちになった。
夜、帰宅した夫に話すと、夫も少し驚いた顔をした。
「また布団のことを言われたの?」
「うん。それだけじゃなくて、火曜と金曜は洗濯物が多いって」
「曜日まで…?」
「会ったこともない人なのに、そこまで見られてるのかなって思うと、ちょっと気になって」
夫はしばらく黙ってから、「気になるけど、こっちは言われたことに気をつけるしかないね」と言った。
今も気になってしまうベランダの下
私たちは今も同じ部屋に住んでいて、火曜と金曜の洗濯も続けている。管理会社からそれ以上の連絡はない。
ただ、洗濯物を干すとき、以前より少しだけ手すりの下が気になるようになった。
私はそのまま視線を戻し、タオルの端が下へ垂れていないか、もう一度だけ確かめた。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














