「レバーは自分で捌くから」と言っていたのに面倒な処理を丸投げした夫。翌日、私が出した料理に頭を下げた瞬間
パート帰りの丸投げ
パートを終えて帰宅すると、たいてい私にはもう気力が残っていない。
子どもは三人。上の子の宿題を見て、下の子をお風呂に入れれば、あっという間に夜だ。座る暇もないまま一日が終わっていく。
その日も、買い物に付き合った夫が、精肉コーナーでぴたりと足を止めた。狙いはいつも決まっている。レバーとハツの並んだ棚だ。
「レバニラ食べたいな」
夫の好物だ。でも、あの面倒な下処理を毎回引き受けるのは私で、正直この日は勘弁してほしかった。血の匂いのする塊を洗って、筋を取って、下ゆでして。手間を思うだけで、ため息が出る。
「今日は疲れてるから、勘弁して」
渋る私に、夫はパックをかごへ放り込んで言った。
「レバーは自分で捌くから」
耳を疑った。この人が台所に立つなんて、めったにないことだ。
めずらしいこともあるものだと、私はその言葉を信じてしまった。
翌日の食卓で
ところが家に着くと、夫はソファに沈んだきり動かない。子どもたちがまとわりついても、スマホから目を離さないままだ。
「レバー、やってくれるんだよね?」
「うん、あとでやる」
その「あとで」は、いつまで経っても来なかった。夕飯の時間になっても、寝る時間になっても、レバーは袋のまま台所の隅に取り残されている。
いつもの私なら、仕方ないと自分で片付けていた。けれどその夜は違った。私はあえてレバーに手をつけず、そのまま冷蔵庫にしまった。
そして翌日。私は黙って血を抜き、筋を取り、下ゆでをして、レバニラを作った。フライパンの音だけが響く台所で、私は一言もしゃべらなかった。
食卓に皿を置いても、私は口をきかない。ただ、夫の顔をまっすぐ見つめた。
夫の視線が皿と私の間を行き来する。何か言いかけて、飲み込む。それから、決まりが悪そうに小さく頭を下げた。
「悪かった。もう勝手に買わない」
「次からは、ちゃんと聞いてから買うよ」
私は黙ってうなずき、自分の分のレバニラを口に運んだ。無言というのは、案外よく効くものらしい。ほんの少し、いつもより味が良い気がした。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














