「年収800万なんてすぐ超えるから」義実家で家の購入を宣言した夫。だが、同席した義妹の夫が明かした額に絶句
義実家での唐突な宣言
夫は、これまで何度も職を変えてきた。そのたびに「悪いのは会社のほうだ」と言い張り、腰を落ち着けようとしない。
それでもプライドだけは人一倍高く、私はいつも黙って話を合わせてきた。
そんな夫が、義実家に親戚の集まった夕食の席で、突然、家の購入を宣言した。収入は同世代の半分ほどしかないのに、である。
「そろそろ、うちも家を買おうと思ってるんです」
驚く親戚たちの前で、夫は自信たっぷりに胸を張った。
「年収800万なんてすぐ超えるから」
(超えるどころか、その半分にも届いていないのに……)
私はうつむいて、味噌汁のお椀を見つめるしかなかった。
親戚たちは、互いにそっと顔を見合わせた。誰も、夫の無責任な宣言に相槌を打とうとはしない。気まずい空気だけが、食卓に広がっていく。
義妹の夫が明かした額
その空気を変えたのは、天然で知られる義妹の夫だった。悪気なく、けれど的確に、こう尋ねてきたのだ。
「へえ、いいですね。ちなみにお義兄さん、今の年収っておいくらなんですか?」
「い、いや、それは人に言うことでもないだろ」
夫は苦しそうに、話をそらそうとした。だが義妹の夫は気づかず、にこにこしながら、自分のことを先に話し出した。
「僕は去年、ちょうど年収800万でしたよ」
あっけらかんとしたその口調に、悪意はまるでない。だからこそ、その一言は誰にも否定できない現実として、食卓にずしりと落ちた。
夫が「すぐ超える」と豪語した、まさにその額。しかも義妹の夫は、夫と同い年だった。同じ歳で、夫が夢のように語った数字を、彼はとっくに現実にしていたのだ。
夫の顔から、すっと表情が消えた。血の気の引いた顔で、口を開いたり閉じたりを繰り返す。けれど、そこから言葉が出てくることはなかった。
「あ、いや、俺のはその、色々あって……」
言い訳の言葉すら続かず、夫はとうとう言葉を失って、うつむいてしまった。テーブルには、気まずい沈黙だけが残る。
「あれ、聞いちゃいけないことでした?」
悪気なくそう言う義妹の夫の一言が、かえって夫を追い詰めた。すると義妹が、助け舟を出すようにさらりと言った。
「兄ちゃん、見栄張らんでええよ。身の丈に合った暮らしがいちばんやから」
義妹の夫も「ほんとですよ」と笑ってうなずく。二人は帰り際、私にだけ「無理させたらあかんよ」と声をかけてくれた。天然に見えて、ちゃんと私の味方をしてくれていたのだと知って、少しだけ救われた気がした。
帰り道、夫は私の少し前を、うつむいたまま黙々と歩いていた。いつも大きく見えたその背中が、その日はひとまわり縮んで見えた。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














