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2026.10.16(Fri)

「でも、父は叔父さんを信じて貸したのよ」15年前の100万円をめぐり、母が法事の席で明らかにした記録

「でも、父は叔父さんを信じて貸したのよ」15年前の100万円をめぐり、母が法事の席で明らかにした記録

借用書のない100万円と、叔父の言い分

15年前、父は弟である叔父に100万円を貸しました。

当時、わが家の生活にも余裕があったわけではありません。

それでも父は、返済は余裕ができてから少しずつでいいと伝え、借用書も作りませんでした。

兄弟だからこそ、そこまで信用していたのだと思います。

父が亡くなったあと、私が返済について叔父に尋ねると、「少しずつ返すつもりだ」と言われました。

実際に月1万円ずつの返済が始まったのですが、それも6回で止まってしまったのです。

心配になって電話をしても、叔父は「今は余裕がない」と繰り返すばかり。

それから半年後、私はもう一度電話をかけました。

「叔父さん、毎月じゃなくてもいいの。返せるときに、少しずつでも返してくれない?」

「だから、今は無理だって言ってるだろ」

「でも、父は叔父さんを信じて貸したのよ」

すると、叔父の声が急に大きくなりました。

「証文もないのに、返せと言うのか」

「えっ…?」

「兄貴はもういないんだぞ。借りた証拠なんて、どこにあるんだよ!」

あまりの言い方に、私は言葉を失いました。

叔父が以前、返済するつもりだと言っていたことも、6回お金を返してくれたことも、なかったかのような口ぶりでした。

それ以上話すことが怖くなり、私は電話を切りました。

その晩、母に電話での出来事を話すと、母は黙って聞いたあと、仏間のほうに目を向けました。

父の法事で、母が開いた古いノート

その後、父の法事があり、親族で食事をすることになりました。

実家の座敷で、私は母と叔父の間に座っていました。叔父は私とは目を合わせず、ほかの親族と話しています。

やがてお酒が回ったころ、叔父が笑いながら言いました。

「兄貴の金のことで、この子にしつこく電話されてね。証文もないのに、困ったもんだ」

親族の前でそんなことを言われ、私は返す言葉が見つかりませんでした。

そのとき、母がそばに置いていたふくさから、古いノートを取り出しました。

「証文はないけど、これを見てもらえますか」

母はノートを開き、叔父のほうへ向けました。

そこには父のくせのある字で、15年前に叔父へ100万円を貸した日付と金額が記されていました。

さらに、その横には「弟、必ず返すと言う、信じて待とう」と書かれていたのです。

借用書は作らなくても、父は自分のノートに記録を残していました。

母は続けて、その下に並んだ日付を指さしました。

「こっちは、あなたが返してくれた6回分。届くたびに私が書いておいたんです」

叔父は身を乗り出し、ノートをじっと見つめました。

「最初はちゃんと返してくれましたよね。それなのに、借りた証拠がないなんて…」

母の声は静かでしたが、叔父は何も言い返しませんでした。

向かいに座っていたいとこも、ノートを見て口を開きました。

「6回も返してたんなら、借りたのは確かだよな」

親族の視線が叔父に集まりました。隣のおばも箸を置き、叔父の返事を待っています。

叔父は何か言いかけましたが、結局、口を閉じました。

母はノートを閉じずに言いました。

「今すぐ全部返してとは言いません。前と同じ、月に1万円ずつでいいんです。みんなの前で、もう一度約束してもらえませんか」

しばらく黙っていた叔父が、小さな声で答えました。

「……来月から、また送る」

母はその返事を聞くと、父の記録の下に、その日の日付と叔父の約束を書き加えました。

叔父はそれ以上何も言わず、そのあと、お酒にも手を伸ばしませんでした。

私は父の字が残るノートを見ながら、胸の奥が少しだけ軽くなるのを感じました。

返済が終わったわけではありません。それでも、なかったことにされかけた父と叔父の約束を、母がきちんと残してくれていたことが、何よりうれしかったのです。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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