「年寄りは待てるだろ、俺を先に打て」会計中のおじいさんを押しのけて割り込んだ男性に、若い店員が返した一言
小銭を数えるおじいさんの横に現れた男性
数か月前の平日の昼、近所のドラッグストアで買い物をしていたときのことです。
開いているレジは1台だけ。20代くらいの女性店員さんが、つえをついた80代くらいのおじいさんの会計を担当していました。
私はその2人後ろに並んでいました。
おじいさんは片手でつえを支えながら、財布から小銭を取り出し、レジ台に一枚ずつ並べています。
店員さんは急かすことなく、支払いが終わるのを待っていました。
そこへ、70代くらいの男性が品物を抱えてやって来ました。
男性は列を見るなり大きなため息をつき、何度も腕時計を確認しています。
「おい、まだ終わらないのかよ」
そして、列の後ろに並ばず、おじいさんの横からレジ台に品物を置きました。
「悪いけど、急いでるんだよ。こっち先にやってくれない?」
突然のことに、おじいさんの手が止まりました。並べていた小銭が台の上を転がります。
「あの…まだ私の会計が…」
おじいさんが遠慮がちに言うと、男性は肩で押しのけるようにして、レジ台の正面へ割り込みました。
「年寄りは待てるだろ、俺を先に打て」
その言葉に、私は耳を疑いました。
おじいさんは困った顔をして、つえを握り直しています。私も驚いてしまい、とっさに声が出ませんでした。
店員さんが指さした場所
すると、それまで黙っていた店員さんが口を開きました。
「お客様、申し訳ありません。こちらのお客様が先ですので」
男性は顔をしかめます。
「だから、急いでるって言ってるだろ!」
店員さんは男性の品物をレジ台の端に寄せ、落ち着いた声で続けました。
「お急ぎなのは分かります。でも、皆さん順番に並んでいらっしゃいます。最後尾からお願いします」
そう言って、列のいちばん後ろを指さしました。
「はあ?ちょっとくらいいいだろ!」
「申し訳ありません。順番は守っていただかないと…」
店員さんは声を荒らげず、男性の顔を見ていました。
私の後ろにいた若い男性が、小さく「そうですよね」とつぶやきました。周囲の人たちも、店員さんの言葉にうなずいています。
男性は顔を赤くして、何か言い返そうとしましたが、結局それ以上は何も言いませんでした。
「……なんだよ、まったく」
そう吐き捨てると、レジ台の端に置いた品物をつかみ、列の最後尾へ歩いていきました。
何事もなかったように戻った会計
店員さんはおじいさんに向き直り、転がった小銭を手元に寄せました。
「お待たせしてすみません。大丈夫ですよ、ゆっくりで」
「いやあ、すみませんね。ありがとう」
おじいさんは何度も頭を下げながら、小銭を数え直していました。
店員さんも、先ほどまで男性に強く言われていたのが嘘のように、いつもどおりの口調で会計を進めています。
ふと後ろを見ると、あの男性は品物を抱え、黙って列に並んでいました。
強い言葉で怒鳴り返すこともなく、ただ順番を守るように伝えた店員さん。
あのとき、困っているおじいさんを見ながら何も言えなかった私には、店員さんの落ち着いた対応がとても頼もしく感じられました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














