「レジに立つなら、ポイントカードくらい先に聞けよ」新人の私のミスを注意する常連客。だが、チーフの一言で黙った
ミスを指摘してくる常連客
スーパーでレジの仕事を始めたばかりのころの話です。
レジの横には、会計時に確認する「レジ袋」と「ポイントカード」のメモが貼ってありました。
それでも、夕方の混雑する時間帯になると、焦ってどちらかを聞き忘れてしまうことがありました。
働き始めて1週間ほどたったある夕方、60代くらいの常連の男性客が私のレジに並びました。
その男性は、会計が終わるまで何も言わず、最後になって声をかけてきました。
「おい、袋はどうした?」
「あっ、すみません。レジ袋はご利用ですか?」
慌てて聞き直す私を見て、男性は呆れたように首を振りました。
それからというもの、男性は毎日のように私のレジに来ると、何か聞き忘れていないかを確かめるようになりました。
「レジに立つなら、ポイントカードくらい先に聞けよ」
「申し訳ありません。ポイントカードはお持ちですか?」
「持ってるよ。毎日来てるんだから分かるだろう」
男性はカードを差し出しながら、後ろに並んでいるお客さんを振り返り、肩をすくめます。
言われていることは間違っていません。確認を忘れてしまう私にも問題はありました。
ただ、男性はいつも会計の最後まで黙っていて、私が聞き忘れると、周囲にも聞こえる大きな声で指摘するのです。
次第に男性の姿が見えるだけで緊張するようになり、かえってレジの操作を間違えることも増えました。
ある日、休憩室で落ち込んでいると、30代くらいの女性のチーフが声をかけてくれました。
「どうしたの?顔色悪いよ」
「実は、いつも来る男のお客様が怖くて…。私が何か忘れると、大きな声で注意されるんです」
「ああ、あのお客様ね。隣のレジから見てたよ」
チーフが事情を知っていたことに、少しほっとしました。
チーフが隣に立った夕方
翌日の夕方、男性はまた私のレジに並びました。
後ろには、かごを提げた女性と年配の男性が並んでいます。
私は貼ってあるメモを確認し、男性のかごが置かれると、いつもより意識して声をかけました。
「レジ袋はご利用ですか?ポイントカードはお持ちですか?」
男性は小さく鼻を鳴らしただけでした。
今回は聞き忘れもなく、会計を終えてお釣りを渡すことができました。
ところが、その直後です。
「おい、声が小さいぞ。新人ならもっと大きな声で話せよ」
また大きな声で注意され、私は思わず言葉に詰まりました。
そのとき、隣のレジにいたチーフが私の横に来ました。
「お客様、何かございましたか?」
「この子の声が小さいんだよ。もっとちゃんと教えたほうがいいんじゃないの?」
すると、チーフは落ち着いた口調で答えました。
「今のご案内は、私にもきちんと聞こえていましたよ」
「いや、だから…」
「スタッフへの指導はこちらで行いますので、何かお気づきのことがあれば、私におっしゃってください」
男性は何か言いかけましたが、それ以上は続けませんでした。
すぐ後ろにいた女性が、口元に手を当てて小さく笑います。
男性は少し顔を赤くすると、レジ袋を乱暴につかみ、黙って店を出ていきました。
チーフは次のお客さんに笑顔を向けたあと、私に小声で言いました。
「大丈夫。ちゃんとできてたよ。あまり気にしすぎないでね」
その言葉を聞いて、張り詰めていた気持ちが少し楽になりました。
翌日からも男性は私のレジに並びましたが、以前のように大きな声で注意することはなくなりました。
レジ袋の確認にも、目を合わせず小さくうなずくだけです。
私自身も、メモを確認しながら落ち着いて接客できるようになりました。
まだ仕事を覚える途中だった私にとって、チーフがそばで対応してくれたことは、本当に心強い出来事でした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














