「俺は毎日来てるんだぞ」と値引きを迫る男性客。だが、後ろの常連客が返した思わぬ一言
冗談だと思っていたお願い
今は30代の僕が、学生時代にコンビニのレジでアルバイトをしていたころの話です。
夕方は仕事帰りや学校帰りの人で混み合い、その日も僕のレジには4人ほどが並んでいました。
先頭にいたのは、ときどき見かける70代くらいの男性です。
弁当と缶のお酒をレジ台に置くと、財布を出す前に笑いながら言いました。
「なあ、俺、よく来てるだろ。今日はちょっとまけてよ」
僕は冗談だと思い、軽く笑ってバーコードを読み取りました。ところが、画面に合計金額が表示されると、男性の表情が変わりました。
「え?安くなってないじゃないか」
「すみません。そういう値引きはできないんです」
すると男性はレジ台に両手をつき、身を乗り出しました。
「いいじゃん!じゃあ今日の弁当と酒、全部割引ね!」
「申し訳ありません。それはできません」
「いいから、打ち直せばいいだろ」
声が大きくなり、後ろの列からため息が聞こえました。
僕だけでは対応しきれないと思い、事務所にいた店長を呼びました。
列の後ろから返った言葉
50代くらいの店長は僕の隣に立ち、男性の話を最後まで聞きました。
そして、落ち着いた声で伝えました。
「申し訳ありませんが、お客様だけお値引きすることはできません。いつも来てくださる方も、皆さん同じ条件です」
男性は納得できない様子で、レジ台をたたきました。
「俺は毎日来てるんだぞ。ほかの客と一緒にするのか」
そのとき、すぐ後ろに並んでいた年配の女性が、少し笑って口を開きました。
腕には、その日の朝にも見かけた布の買い物袋が下がっています。
「あら、私も毎日来てますよ」
その後ろにいた作業着の男性も、続けました。
「俺も毎朝、ここで弁当買ってるよ」
いちばん後ろの学生も、かばんを肩にかけ直しながら、黙ってうなずきました。
店長は3人に軽く会釈すると、男性に向き直りました。
「こうして、いつも来てくださるお客様はほかにもいらっしゃいます。皆さん、同じ値段でお買い物してくださっています」
男性は何か言いかけましたが、そのまま黙り込みました。顔を赤くし、列のほうを見ないまま、表示された金額をトレーに置きます。
そして袋を手に取ると、早足で店を出ていきました。
自動ドアが閉まったあと、年配の女性がお菓子を1つレジ台に置きました。
「これ、お願い。いつもありがとうね」
張りつめていた気持ちが少しほどけて、僕も「ありがとうございます」と返しました。
それ以降、少なくとも僕が店に入っている時間帯では、あの男性を見かけなくなりました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














