「もう一杯いこう!」深夜まで騒ぐ隣家の週末BBQ→一本の苦情で午後10時前にぴたりと止んだ
眠れない金曜の夜
隣の家の週末は、いつも庭から始まった。
金曜の夕方になると炭の匂いが漂い、椅子を並べる音がして、やがて大人数の宴会が幕を開ける。
「もう一杯いこう!」
陽気なかけ声とともに、缶を打ち合わせる音が響く。
問題は、その宴が深夜まで終わらないことだった。
笑い声は夜が更けるほど大きくなり、窓を閉めきっても壁越しに伝わってくる。
とりわけ耐えがたかったのは、子どもたちの声だ。夜十一時を過ぎても庭を走り回り、キャッキャッと甲高い声が壁越しに突き刺さってくる。
親たちは酔って上機嫌なのか、注意する気配もない。
「明日も仕事なのに……」私は布団の中で何度も寝返りを打った。
目覚まし時計の表示が深夜0時を回っても、隣の庭の明かりは消えない。
翌朝、寝不足の頭を抱えて出勤するのが、いつしか週明けの決まりになっていた。
ぴたりと止んだ午後10時
変化が訪れたのは、梅雨の晴れ間の週末だった。その夜も、隣の庭はいつもどおりにぎわっていた。
ところが午後十時になる少し前、あれほど賑やかだった声が、突然ぴたりと止んだ。
耳を澄ますと、慌てて片づけるような物音と、小声で交わす短いやり取りが聞こえる。それきり、庭は静けさに包まれた。
「え、今日はもうおしまい?」
拍子抜けするほど、あっけない幕切れだった。
数日して、事情が分かった。同じ並びに住む方が、たまりかねて隣に一言、伝えてくれたのだという。
声を上げたのは、私ではなかった。ずっと我慢していたのは、自分だけではなかったのだ。
その日を境に、隣のBBQは午後十時前には必ずお開きになった。
子どもたちの歓声も、いつのまにか日の高いうちだけになっていた。
相変わらず週末になれば庭はにぎわうけれど、夜が更ける前にはきちんと静まる。それだけで、暮らしの心地よさはまるで違った。
自分では動けなかったぶん、少しだけ後ろめたい。それでも、まくらに頭をつけてぐっすり眠れる夜が戻ったことが、ただただありがたかった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














