「おわび、ちょっと長くない?」同期の忠告を聞かずに送信した私。取引先3社と上司に届いてしまったメール
誠実なつもりで書き足した、おわびの3行
20代のころ、私は取引先3社との合同打ち合わせを担当していました。
ある日、日程を案内するメールで、打ち合わせの日を1日間違えて伝えてしまったのです。
間違いに気づき、3社の担当者全員に正しい日程を知らせてくださったのは、その中でいちばん年上の担当者の方でした。
その夜、私は会社の自分の席で、その方へのおわびのメールを書いていました。
「申し訳ありませんでした」だけでは、なんだか冷たい気がします。
そこで、寝不足だったこと、確認したつもりだったこと、うっかり間違えてしまったことを、正直に3行書き足しました。
ちょうど帰ろうとしていた同期が、私の画面をちらりと見ました。
「え、おわびのメール?ちょっと長くない?」
「そうかな。でも、ちゃんと事情も伝えたくて」
「そっか。まあ、任せるけど」
同期は笑いながら帰っていきました。
私はもう一度文章を読み返し、これなら気持ちが伝わるはずだと思って送信しました。
ところが、その直後です。
送信済みのメールを見て、血の気が引きました。
「えっ…うそでしょ」
私は、その担当者の方だけに返信したつもりでした。
しかし、実際に押していたのは「全員に返信」のボタン。
宛先には取引先3社の担当者だけでなく、社内の課長と部長の名前まで並んでいたのです。
しかも、寝不足だの、確認したつもりだのと書いた、あの3行まで。
「なんで送る前に確認しなかったんだろう……」
取り消すこともできず、私はしばらく画面を見つめていました。
帰宅してからも恥ずかしさが消えず、その夜はなかなか寝つけませんでした。
取引先からの優しい返信と、課長のひと言
翌朝、恐る恐るメールを開くと、取引先から何通も返信が届いていました。
最初に目に入ったのは、あの年上の担当者の方からのメールです。
「お気になさらず」
さらに、ほかの会社の方からも返信がありました。
「睡眠、しっかりとってくださいね」
「確認したつもり、私もよくやります」
皆さん怒るどころか、私が余計に書いた事情にまで気を遣ってくださっていたのです。
ありがたい気持ちと同時に、恥ずかしさで顔が熱くなりました。
そのとき、課長に声をかけられました。
「ちょっと、席まで来てくれる?」
思わず背筋が伸びました。
課長の席へ行くと、50代の課長はパソコンの画面を見ながら、私にだけ聞こえる声で話し始めました。
「あのメール、見たよ」
「……すみません」
「おわびはきちんと伝えればいいんだから。寝不足とか、そういう話まで書かなくていいよ」
私は何も言い返せませんでした。
すると課長は、少し声をやわらげて続けました。
「日記にでも書いておきなさい」
「はい……気をつけます」
席に戻った私は、恥ずかしくて思わず顔を伏せました。
それ以来、メールを送る前には、宛先を必ず声に出して確認するようになりました。
先日もいつものように確認していると、隣の島から同期が顔を出しました。
「その宛先の読み上げ、もううちの課の朝の名物だよ」
笑われてしまいましたが、私は今でも続けています。
あんな思いをするのは、もう一度で十分ですから。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














