「マイク、ミュートになっていませんか?」朝礼で3分間話し続けた私。慌てて解除した直後に聞こえた妻の声
カメラをつける朝、準備に気合いを入れた私
20代のころ、在宅勤務をしていたときの話です。
ある週の終わり、上司から朝礼のやり方を変更すると連絡がありました。
毎朝9時からの朝礼に、これからは全員カメラをオンにして参加することになったのです。
それまで画面に顔を映す機会が少なかった私は、月曜の朝から少し気合いが入っていました。
仕事部屋を片づけ、背景に映る本棚を整え、ノートパソコンのカメラの角度も何度か調整しました。
すると、洗濯かごを抱えた妻が廊下から顔をのぞかせました。
「え、どうしたの?ずいぶんきれいにしてるね」
「今日から朝礼でカメラをつけるんだよ。これなら大丈夫でしょ」
「なるほどね。頑張って」
妻は笑いながら、その場を離れていきました。
9時になり、朝礼が始まりました。画面には上司や同僚たちの顔が並んでいます。
やがて、私がその日の予定を報告する番になりました。
「では、お願いします」
上司に促され、私は背筋を伸ばして話し始めました。
午前中の会議の準備、午後の取引先への電話、夕方までに仕上げる報告書。
一つずつ順番に説明していきます。
ところが、画面の同僚たちは、なぜか不思議そうな顔をしています。
「あれ、説明が分かりにくかったかな…」
そう思った私は、さらに丁寧に話を続けました。
3分間の無音のあと、響いた妻の声
3分ほど話し終えたところで、上司が困ったように口を開きました。
「あの、すみません。マイク、ミュートになっていませんか?」
「えっ?」
慌てて画面の隅を見ると、マイクのマークには赤い斜線が入っていました。
なんと私は、3分間ずっとミュートのまま話していたのです。
「うわっ、すみません!今、外します!」
恥ずかしさで顔が熱くなりながら、急いでミュートを解除しました。
「すみません、今度は聞こえますか?」
その瞬間でした。
「洗剤どこー!2本目がないのー!」
廊下から妻の大きな声が飛び込んできたのです。
さっきまで妙に静かだった画面の向こうで、同僚たちが一斉に吹き出しました。
コーヒーを飲んでいた同僚の一人は、むせてしまったのか、カップを置く間もなく画面の外へ消えていきました。
「えっ、ちょっと待って……今の、聞こえました?」
私が恐る恐る尋ねると、上司が笑いをこらえながら答えました。
「はい。今のは、ものすごくはっきり聞こえました」
もう恥ずかしくて、画面をまともに見られません。
すると上司は、まだ笑いながら言いました。
「とりあえず、奥さんに洗剤の場所を教えてあげてください。朝礼は以上です」
私は急いでマイクをミュートに戻し、廊下へ向かって答えました。
「洗面台の下!」
ようやく一息ついた私は、画面に映った自分の真っ赤な顔を見て、思わず苦笑いしてしまいました。
それから半年。
私はオンライン会議の前になると、必ずマイクの状態を確認するようになりました。ついでに、その時間に妻が何をしているかも気になります。
先日の朝礼でも、終わり際に上司が笑いながら一言。
「そういえば、今日は洗剤、足りてますか?」
あの日の失敗は、どうやらまだ忘れてもらえそうにありません。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














