「ごみは少しずつ分けて出すのが筋だ」引っ越し直後の私たちを怒鳴った自治会長。だが、年末の集積所で妻が返した一言
引っ越し早々、玄関先で怒鳴られて
一戸建ての住宅街に引っ越してきて、最初のごみ収集日のことです。
引っ越しで出た段ボールと生活ごみを、妻と2人で分別して集積所へ持っていきました。
収集日も分別方法も確認し、決まりどおりに出したつもりでした。
ところが、その日の午前中。斜め向かいに住む70代の自治会長が、突然わが家の玄関先にやってきたのです。
「ちょっと、あの段ボールの山。お宅が出したのか?」
「はい。引っ越しで出たものですけど…」
そう答えると、会長は不機嫌そうに顔をしかめました。
「あんなに一度に出されたら、ほかの家が困るんだよ。全部引き取ってくれ」
確かに段ボールは多めでした。ただ、決められた方法で出していますし、集積所の棚にもまだ余裕がありました。
すると、玄関にいた妻が口を開きました。
「でも、収集日も守っていますし、分別もちゃんとしています。棚にもまだ空きがありますよね?」
その言葉が気に入らなかったのでしょうか。会長は顔を赤くし、玄関の戸に手をかけながら声を荒らげました。
「ごみは少しずつ分けて出すのが筋だ。新参者が口答えするな!」
あまりの剣幕に、私も妻も言葉を失いました。
引っ越して早々、ご近所ともめたくはありません。
納得できない気持ちはありましたが、その日は段ボールを持ち帰ることにしました。
翌週からは数回に分けて出しましたが、会長はそれ以降も、私たちがごみを置くたびに集積所の横に立ち、袋をじっと確認するようになりました。
そのたびに、妻と私は気まずい思いをしていました。
年末の集積所で、妻が返した一言
そんなことが続いた年末、最後のごみ収集日の朝のことです。
私と妻は、大掃除で出たごみ袋を1つずつ持って、集積所へ向かいました。
ところが、角を曲がったところで妻が足を止めました。
「えっ…何これ。すごい量…」
見ると、集積所には大量のごみ袋が積み上がり、道の端にまではみ出していたのです。
袋に書かれた名前を確認すると、半分ほどが自治会長の家のものでした。
そこへ、当の会長が両手に大きなごみ袋を提げてやってきました。
私たちと目が合うと、会長は集積所の山を見ながら言いました。
「年末なんだから、ごみが多くなるのは仕方ないだろう」
その言葉を聞いた妻が、静かに一歩前へ出ました。
「会長、ちょっといいですか?」
「……何だよ」
「前に、私たちに言いましたよね。『ごみは少しずつ分けて出すのが筋だ』って」
会長は何も答えません。
妻は、目の前に積み上がったごみ袋を見ながら続けました。
「私たちは言われたとおり、何回かに分けて出しました。でも、これはいいんですか?」
そのやり取りを聞いていた通りの向こうの近所の人たちが、思わず顔を見合わせました。
そのうちの一人が、苦笑いしながら言いました。
「会長、いつもそう言ってますもんねえ」
会長は両手に袋を持ったまま、しばらく黙っていました。
そして小さく息を吐くと、集積所に積まれていた自分の家の袋を持ち上げ、家へ戻っていったのです。
その後も何度か往復し、自分の家の袋の半分ほどを持ち帰りました。
妻は、空いた場所に私たちが持ってきた2つの袋を並べて置きました。
帰り道、妻と顔を見合わせましたが、どちらも何も言いませんでした。ただ、ずっと引っかかっていた気持ちが、少し軽くなったように感じました。
年が明けてから、集積所の横に立つ会長の姿を見かけることはなくなりました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














