tend Editorial Team

2026.10.24(Sat)

「親子なんだから返す必要なんてないだろ」100万円を返さない父。だが、10年分の家計簿を開いた母の一言

「親子なんだから返す必要なんてないだろ」100万円を返さない父。だが、10年分の家計簿を開いた母の一言

10年間、返してもらえなかった100万円

父に100万円を用立てたのは、10年前のことです。

車の買いかえと修理代が足りないと頼まれ、僕は迷わず自分の貯金からお金を渡しました。

ところが、それから10年たっても、父からお金が返ってくることはありませんでした。

何度か返済をお願いしたものの、そのたびに父は不機嫌になり、最後には言い合いになってしまいます。

実家に帰るたびに嫌な思いをするのもつらく、僕はいつしか、お金の話を避けるようになっていました。

それでも、100万円は決して小さな金額ではありません。

ある夜、実家の居間で父と話していたとき、僕は思い切って切り出しました。

「父さん、前に貸した100万円だけどさ。少しずつでも返してもらえないかな」

すると、父はあからさまに嫌そうな顔をしました。

「はあ? また金の話か。もういいだろ、その話は」

「いや、もう10年たってるんだよ。全部いっぺんに返してほしいって言ってるわけじゃないんだ」

僕がそう伝えると、父は新聞を乱暴にたたみ、腕を組みました。

「親子なんだから、返す必要なんてないだろ。親が困ってたら子どもが助ける。それが普通じゃないのか」

あまりの言い分に、僕は言葉を失いました。

台所から聞こえていた食器の音が、ふっと途切れました。

これ以上話しても無駄なのかもしれない。そう思った僕は、そのまま実家を後にしました。

「もう、いいや…」

帰り道、思わずそんな言葉がこぼれました。

母が10年分の家計簿を開いた日

ところが、次に実家へ帰ったときのことです。

居間の座卓に、何冊もの家計簿が積まれていました。古びた表紙のものから新しいものまで、ずらりと並んでいます。

「母さん、これ、どうしたの?」

「10年分の家計簿よ。ちょっと座って」

父も不思議そうに家計簿を見ています。

「なんだよ、急に。大掃除でも始めるのか?」

父が笑うと、母は古い家計簿を一冊手に取り、あるページを開きました。

そして、父の前に置いて、指でその一行を示したのです。

「借りた日も金額も、全部書いてあるのよ」

そこには、僕が父に100万円を渡した日付と金額が記されていました。

父は家計簿に目を落とし、それまでの笑顔を消しました。

「親子だから返さなくていいなんて、そんな話はないでしょう。この子だって、自分のお金を出してくれたのよ」

母の言葉に、父は顔をしかめました。

「……そんな話、今さら持ち出さなくてもいいだろ」

「今さらにしたのは、あなたでしょう。何度も返してほしいって言われてたじゃない」

母はそこで一度言葉を切り、父の顔を見ました。

「一度に返せないなら、毎月少しずつ返しましょう。あなたの年金から返す額を、今日ここで決めて」

そう言うと、母は紙に毎月の返済額を書き、父の前に差し出しました。

父は何か言い返そうと口を開きましたが、結局、何も言いませんでした。

しばらく紙を見つめたあと、小さくうなずきます。

「……わかったよ」

「じゃあ、これで決まりね」

母はそう言って、家計簿を静かに閉じました。

帰ろうと立ち上がったとき、父はまだ座卓の前に座り、返済額の書かれた紙を見つめていました。

玄関まで見送りに来た母が、申し訳なさそうに口を開きました。

「ずっと言えなくてごめんね」

「ううん。ありがとう、母さん。本当に助かったよ」

まだ100万円が戻ってきたわけではありません。

それでも、10年間まともに話し合えなかった返済について、父が初めてうなずいてくれました。

何より、母がずっと覚えていてくれたことが、僕にはうれしかったのです。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.10.24(Sat)

「大事な人へのプレゼントなんです」恋人への贈り物だと張り切った店員。数日後、恥ずかしい勘違いが発覚
tend Editorial Team

NEW 2026.10.24(Sat)

「自分で選ぶから、あっちに行っててちょうだい」花屋のケースに手を伸ばした客。だが、花束に付いた札を見て黙った理由
tend Editorial Team

NEW 2026.10.24(Sat)

「いらなくなったから置いただけなんですけど」ドラッグストアで商品を放置する客。だが、近くにいた店員が声をかけた瞬間
tend Editorial Team

RECOMMEND

2026.05.05(Tue)

「突然消えるの怖すぎる」「ここまで大きいチャンネルでも突然いくんだ」と驚きの声続出。格闘家・皇治、30万人のYouTub...
tend Editorial Team

2026.07.04(Sat)

「最後やし、一緒にいたいやろ」母の通夜に体調が急変した祖母を残す叔母→頼みの綱の正体に思わず絶句
tend Editorial Team

2026.09.11(Fri)

「親戚なんですけど、それでもダメですか?」朝食会場で後から合流したグループ。だが、係員に止められた結果
tend Editorial Team