「あなたは黙って、お皿を出して」嫁のロールキャベツを、妹の前で自分の手柄にする義母が頭を下げた理由
妹の前の『うちの味』
妹の前で、義母は私の料理を自分が仕込んだと言いました
11月の日曜の昼。義実家の和室の座卓に、私は鍋敷きを敷き、持参した大きな鍋を置きました。
義母の妹が、久しぶりに訪ねてくる日です。義母に一品頼まれ、自分で考えたレシピでロールキャベツを作ってきました。夫は仕事で、まだ来ていません。
義母は会うたびに、私の料理を『うちの味じゃない』とけなす人です。
鍋のふたを取ると、澄んだ金色のスープに、ころんと大きなロールキャベツが6つ。義母の妹が身を乗り出すと、義母が先に口を開きました。
「作り方は、一から私が仕込んだの。」
「やっと、うちの味になったわ。」
まだ誰も、ひと口も食べていないのに、です。
義母は、中はひき肉だけで余計な物は入れないと言いました
中には何が入っているのかと義母の妹が尋ねると、義母は迷わず答えました。
「中はひき肉だけ。」
「余計な物は、一つも入れない。」
義母の妹は、さすが姉さん、と感心した様子でうなずきます。けれど私は、ロールキャベツの作り方を義母に聞いたことさえありません。義母は、妹の前では料理上手な姉としていい顔をしていたいのでしょう。
言いかけた私は、黙ってお皿を出せとさえぎられました
あの、これは、と言いかけると、義母が声を強めてさえぎりました。
「あなたは黙って、お皿を出して。」
「教わった側が、出しゃばらないの。」
ここで言い返せば、義母の妹の前で角が立ちます。口で否定しても、教えた、教わっていないの言い合いになるだけ。夫もまだ来ません。私は口を閉じ、うつむきました。
義母が知らなかったロールキャベツの中身
私は菜箸を差し出し、最初の一つを割ってと頼みました
台所から大皿と菜箸を持って戻ると、義母がせかします。
「ほら、早く配って。」
ひとつが大きいので、二つに分けて出すつもりでした。作り方を教えたと言うのなら、中身をよく知っているはずです。そこで私は、大皿を義母の前に置き、菜箸を差し出しました。
「最初の一つを、割ってください。」
義母が割ったロールキャベツから、ゆで卵が出てきました
義母は得意げに菜箸を受け取り、いちばん大きな一つを大皿にのせました。菜箸で何度か押しながら真ん中を割ると、柔らかく煮えたキャベツとひき肉が開き、中からゆで卵が現れました。
さらに菜箸を押し込むと卵も割れ、白身の中に黄色い黄身が見えました。丸ごとのゆで卵をひき肉で包むのは、私が何度も試作して考えた形です。
義母は一瞬目を見開きましたが、すぐに取り繕うように声を上げました。
「卵は、私の言った通り!」
しかし、義母はさっき「中はひき肉だけ」と言い切ったばかりです。余計な物は一つも入れない、とも。作り方を一から教えたはずなのに、中に卵が入っていることを知らなかった様子は明らかでした。
義母の妹も、先ほどの説明と目の前の料理を見比べ、不思議そうに首をかしげています。
何も教えていないと認め、義母は頭を下げました
義母は助けを求めるように、妹を見ました。しかし、妹は姉をじっと見つめるばかりです。
先ほどまで自信満々に料理の中身を説明していた義母。その説明が間違っていたことは、妹にも伝わっていました。
義母は何か言いかけましたが、言葉が続きません。これ以上言い張れば、妹の前でもっと恥をかくだけだと思ったのでしょう。
しばらく沈黙したあと、義母は菜箸を置き、座卓の縁に手をついて、頭を下げました。
「何も教えてないの。……ごめんなさい。」
義母の妹は驚いた様子でしたが、やがて私の方を向き、ロールキャベツの包み方を尋ねました。
「包み方なら、私がお教えします。」
そう答えると、義母の妹は笑顔でうなずいてくれました。
義母は座卓に手をついたまま、妹の方を見られませんでした。
※本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














