tend Editorial Team

2012.04.11(Wed)

セバスチャン・ゴダールのクラシックへの新たな挑戦

左/見るからに質のよい、クラシックなパティスリーがずらりと並んでいます。右/大理石の台に並ぶ美しいパティスリー。復活祭の時期でしたので、チョコレートの卵を乗せて、チャーミングなデコに。

左/見るからに質のよい、クラシックなパティスリーがずらりと並んでいます。右/大理石の台に並ぶ美しいパティスリー。復活祭の時期でしたので、チョコレートの卵を乗せて、チャーミングなデコに。

ゴダールの目の色と同じ色の済んだブルーを基調にしたインテリアに、大理石のショーケース。その上に、モンブラン、パリブレスト、ピュイ・ダムール、サントノーレ、レモンタルトなどのクラシック菓子がずらりと並んでいます。伝統菓子だけですが、品よく作られたその様子は、反対にとてもモダンに見えます。

それに例えばクラシックといっても、フォレ・ノワールなら、ジェノワーズの量感よりクリームの方をふんだんに仕込んだ軽やかな口溶けであり、イチゴのタルトなら、平らではなく舟形に仕上げて愛らしく見せているなど、エレガンスが溢れています。一つ一つのお菓子と向き合って、きちんと丁寧に創り上げているからこその仕上がりだと思います。

そして、店の中に、伝統を継承していきたいというゴダールの気持ちがあちこちに散りばめられているのも、この店の個性でしょう。

例えば、店の日除けには、“de père en fils depuis 1955(1955年より父から息子へ)”と記されています。ゴダールはロレーヌ地方出身で、父親もパティシエ。パティスリーを営んでいた家族に生まれました。そんな父親のエスプリを引き継ぐような店にしたいという真摯な思いと先代へのリスペクトが詰まっており、その昔に実家の店で使っていたレジをインテリアとして飾ったりします。

左/ミュシポンタン。さっくりとしたアーモンド風味のメレンゲ生地に、バニラクリームを挟んだゴダールさんの故郷の銘菓。右/昔ながらのボンボンは既存のものを取り扱いますが、まったく添加物の含まれない、上質のものをセレクト。

左/ミュシポンタン。さっくりとしたアーモンド風味のメレンゲ生地に、バニラクリームを挟んだゴダールさんの故郷の銘菓。右/昔ながらのボンボンは既存のものを取り扱いますが、まったく添加物の含まれない、上質のものをセレクト。

あとは何と言ってもMussipontain(ミュシポンタン)でしょうか。おそらくパリのパティスリーではここでしか出合うことのできないお菓子です。ゴダールの生まれた町の名前は正確にはPont à Moussonというのですが、その住民をミュシポンタンと呼ぶのです。パリに住む人のことをパリジャンと呼ぶように。

そしてその町の銘菓がミュシポンタンです。アーモンド風味のメレンゲ生地を層にして、そこにこってりとしたバニラ風味のクリームを挟んでアーモンドで飾り付けたもの。さくさくとしたメレンゲ生地に、質のよい滑らかなクリームがなじむ、その心地良いコントラストと切れ味が美しいのと、周りに散らしたアーモンドが、香ばしい食感をプラスしてくれます。

シンプルだけれど、一つ一つの質のよい仕上がり、風味、口溶けが、全体のハーモニーを創り上げる。シンプルなものを作るのは難しいと言われますが、ゴダールはその本質をしっかりと掴んで実践しています。

詳細

名称:Sébastien Gaudard/セバスチャン・ゴダール
住所:22 rue des Martyrs 75009 Paris
電話:01.71.18.24.70
営業時間:10:00〜20:00(火〜金)、9:00〜20:00(土)、9:00〜14:00(日)
Web:http://www.sebastiengaudard.fr/

プロフィール

伊藤文(いとうあや):料理ジャーナリスト 1993年渡仏。コルドンブルー料理学校パリ校卒業後、フランスの食文化を掘り下げる取材を重ねる。 著書に『フランスお菓子おみやげ旅行』、訳書に『招客必携』、『ロブション自伝』など多数。

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