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2025.10.20(Mon)

「葬式代は折半で」と言い出した義妹。だが香典袋を数えたら、私の名前の袋が一番多かった【短編小説】

「葬式代は折半で」と言い出した義妹。だが香典袋を数えたら、私の名前の袋が一番多かった【短編小説】

義父の葬儀、義妹が言った葬儀代は折半

義父が亡くなり、葬儀は慌ただしく終わりました。
私は長男の嫁の美咲(みさき)です。夫の竜也(たつや)も私も、慣れないこと続きで心身ともに疲れ切っていました。

そんな息つく間もないタイミングで、義妹の綾香(あやか)さんが私たち夫婦に近づき、低い声で言いました。
「お兄ちゃん。葬式代のことだけど、うち(綾香さんの嫁ぎ先)とそっち(私と竜也さん)で、きっちり折半にしましょうね」

私は耳を疑いました。葬儀の費用は、皆様からいただくお香典でまかなうものだとばかり思っていたからです。
竜也さんも「え? ああ…」と戸惑っています。
「だって公平でしょ? どちらも同じだけお世話になったんだから」 綾香さんはそう続けますが、私たちは疲れていて、すぐに返事ができませんでした。

その夜、私たちは親族で集まり、いただいたお香典袋を整理することになりました。
もちろん綾香さんもなぜか一緒に残り、鋭い目つきでテーブルの上の袋を眺めています。

「じゃあ、宛名ごとに分けていきましょう」 私がそう提案し、仕分けが始まりました。
「竜也(夫)宛」「綾香さん宛」「〇〇家(喪主)宛」…そして「美咲(私)宛」。

最初は順調に分けていました。
でも、すぐに手が止まりました。 「これ、美咲さん宛」「これも…」「こっちも美咲さんですね」

積み上がったのは私宛の香典袋

そうです。私の会社関係、学生時代の友人、私の両親の知り合いなど、私個人宛のお香典袋が、どんどん積み上がっていきます。

集計が終わる頃には、テーブルの上には宛名ごとの山ができていました。
そして、明らかに「美咲宛」の山が一番高くなっていたのです。

それを見た綾香さんは、さっきまでの勢いはどこへやら、気まずそうに目をそらしました。
「…すごいわね、美咲さんのところ」 「私の名前でいただいたものですから。もちろん、義父様のために大切に使わせていただきます」 私は静かにそう答えました。

「折半」と言い出した綾香さん。
もしこのお香典がなかったら、彼女は本当にきっちり半分、費用を出すつもりだったのでしょうか。
結局、お香典のおかげで葬儀費用はすべてまかなうことができました。
綾香さんが「折半」の話を二度と口にすることはありませんでした。

 

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。

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