都心の超狭小物件が若者の支持を得る背景
東京23区内、わずか9平方メートル。かつての常識では「住むには不便」と切り捨てられていた極小アパートがいま、20代から30代の若者層を中心に熱い視線を浴びています。
こうした物件は恵比寿や中目黒といった人気のエリアにありながら、家賃が周辺相場より2万円ほど安く設定されているのが特徴です。室内はロフト付きで天井が高く、最新の設備が整っているため、清潔感を重視する世代のニーズに合致しています。何よりも「職場に近い」「トレンドの街に住める」という利便性が、広さへのこだわりを上回っている現状が浮き彫りになりました。
SNS上では、この住まい方に対して多様な意見が飛び交っています。
「9平米はさすがに狭すぎるけれど、合理的な選択としてはあり」
「寝に帰るだけなら十分だし、無駄なものを買わなくなるから逆に健康的」
「固定費を下げて趣味や自己投資にお金を回す今の世代らしい考え方だ」
といった、前向きに捉える声が目立ちます。
一方で、
「今の日本の経済状況を象徴しているようで、少し切なくなる」
という、若者の可処分所得や住宅事情に対する複雑な思いを吐露するユーザーも散見されました。
この現象は、単なる節約術ではなく「自分にとって何が本当に大切か」を研ぎ澄ませた結果の現れではないでしょうか。かつての「広い部屋、高価な家具」というステータスよりも、移動時間を削り、身軽に生きることを選ぶ。彼らの選択からは、モノに縛られない新しい時代の合理性が透けて見えます。
狭い空間だからこそ、お気に入りのアイテムだけを厳選して並べる。そんなミニマリズムの先にあるのは、物理的な豊かさではなく、時間の密度や精神的な自由なのかもしれません。
今の時代、「住めば都」という言葉は、場所の良し悪しだけではなく、自分らしいライフスタイルをどうデザインするか、という主体的な決断を指す言葉へと進化しているように感じます。














