便利な道具で終わらない
社会人3年目。
仕事の流れは一通り覚え、後輩もできて「それなりにこなせている」はずの毎日。
それなのに、最近どうしても胸の奥から消えない「モヤモヤ」がありました。
始まりは、先週の午後。
上司が僕のデスクにやってきて、一束の書類を置いた時のことです。
「悪いけど、この資料、今日中に仕上げておいて」
時計の針は、すでに15時。
手元のスケジュールは、他の案件ですでにパンパン。
(……いや、絶対に終わらない。無理って言わなきゃ) 頭ではそう分かっているのに、いざ上司を前にすると、言葉が喉でつかえてしまいます。
「……わかりました。やっておきます」
結局、反射的に出たのは、自分の首を絞めるような返事。
やる気がないと思われたくない。期待を裏切りたくない。そんなちっぽけなプライドが、僕に「ノー」と言わせてくれません。
そこからは時間との戦いでした。
他の仕事を猛スピードで片付け、ランチの休憩も削り、頭がフラフラになりながらようやく資料を完成。
「できました。確認をお願いします」
「お、ありがとう。じゃあ、これ持って会議行ってくるわ」
返ってきたのは、あまりに素っ気ない一言。
上司は中身をろくに確認もせず、資料を小脇に抱えて会議室へ消えていきました。
(えっ、それだけ……?)
あんなに必死に、削られるような思いで仕上げたのに。
僕の努力はまるで空気みたいに扱われ、存在しなかったかのよう。
追い打ちをかけるように、翌朝、上司からさらなる言葉が飛びます。
「昨日の資料、もっとわかりやすくしておいて」
「……具体的に、どのあたりを修正しましょうか?」
「うーん、全体的にかな。もっとパッと見て伝わる感じで。よろしく」
具体的な指示は何ひとつありません。
結局、何が正解かもわからないまま、ただ「言われたから直す」という空虚な作業だけが残る時間。
(僕、何のために頑張ってるんだろう)
ふと、オフィスの窓に映る自分の顔を見ました。
そこには、上司の顔色を伺うだけの「便利な道具」になり下がった自分がいます。
変わろうと決意
「……よし、決めた」
僕は、意味のない修正を10分で切り上げました。
そして、上司にこう伝えたのです。
「一度、僕が考える『伝わる構成』を箇条書きにしました。これで認識が合っているか、1分だけ見ていただけますか?」
上司は一瞬驚いた顔をしましたが、「ああ、いいよ」と初めて資料を直視しました。
結局、僕を「便利な道具」として扱っていたのは、上司ではなく、上司に思考を丸投げしていた自分自身だったのかもしれません。
帰り道、コンビニでいつもより少し高い弁当を買いました。
上司の評価という「正解」を探すのは、もうやめ。今日の自分に、僕自身が100点をつければそれでいい。
胸のモヤモヤが夜風に溶けて消えていくのがわかりました。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、20代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














