「しきたりなのかと思って黙っていた」嫁いで3日目。神棚のご祝儀を次々と開ける親戚の姿に感じた違和感
白い封筒が、次々と開けられていった
嫁いで三日目、親戚の女性たちが集まる日がありました。
前の晩に義母から日にちだけを聞かされていた私は、朝から座敷に座布団を並べました。
その日、座敷にいたのは六人。女性だけの席で、ご祝儀をいただくと、私は畳に手をついて頭を下げました。
「おめでとうございます」
「ありがとうございます」
そこまでは、和やかな集まりでした。
ところが、そのあと親戚の女性の一人が立ち上がり、神棚のほうへ向かいました。
そこには、先に届いていたご祝儀の白い封筒が並べて置いてありました。
女性は、その中の一つを手に取ると封を開けました。
「この方は、この金額ね」
そして中を確かめると、次の封筒にも手を伸ばします。
私は一瞬、何が始まったのか分かりませんでした。
「こちらの方は…」
「ああ、そうなの」
特に声をひそめるわけでもありません。普段の世間話と変わらない調子で、白い封筒が一つ、また一つと開けられていきました。
私は膝の上で指を組んだまま、その様子を見ていました。
誰も止めないことのほうが気になった
驚きましたし、正直、嫌な気持ちにもなりました。
ただ、嫁いでまだ三日目です。
この家で何が普通なのか、私には分かりませんでした。
座る場所も、お茶を出す順番も、親戚の名前や続柄もまだ覚えきれていません。
だからこそ、目の前で起きていることにも、「もしかして、これもこの家のやり方なのだろうか」と迷いました。
六人いた座敷で、誰も止める人はいませんでした。
義母も黙って座っています。
もし誰かが「それはやめましょう」と言えば、私もおかしなことなのだと分かったと思います。
けれど、誰も何も言いません。
「しきたりなのかな…」
そう思うと、嫁いだばかりの私から口を挟むことはできませんでした。
やがて封筒は元の場所へ戻され、話題も別のことへ移っていきました。まるで何事もなかったかのようでした。
十年たっても、答えは分からないまま
皆さんが帰ったあと、義母が私に声をかけました。
「疲れたでしょう」
「いえ、大丈夫です」
ご祝儀のことには触れませんでした。
私も、「さっきのは何だったんですか」とは聞けませんでした。
あれほど誰も気にしていなかったことを、自分だけが疑問に思っているようで、言い出しにくかったのです。
その夜、座敷を片づけたのも私でした。
神棚には、開けられた白い封筒がまた並べられていました。
あれが本当にしきたりだったのか、それともあの日だけのことだったのか。結局、私は今も確かめていません。
あれから十年がたちました。
今では、あの座敷で自分がどこに座ればいいのか迷うことはありません。それでも、次々と封筒が開けられていったあの日の静けさだけは、今でもよく覚えています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














