「母は、あなたの財布じゃないよ」7万円の靴代を母に立て替えさせた彼。だが、私が事実を問い詰めると態度が一変
母からの電話で知った靴の話
まだ若く、彼と同棲していたころの話です。
彼はおしゃれへのこだわりが強い人で、私も母も、服や靴を見て回るのが好きでした。
休日には、母を誘って3人で買い物に出かけることもよくありました。
母は彼を息子のようにかわいがっていて、私がいなくても二人で買い物に行くほど仲がよかったのです。
ある休日、私は少し遅れて二人との待ち合わせ場所に向かいました。
洋服店の前に着くと、彼と母が買い物袋を手に、楽しそうに話していました。
彼が大きな靴の袋を持っていたので、新しい靴を買ったのだろうと思いました。そのときは、特に気にしていませんでした。
ところが数日後、母から電話があり、思いがけない話を聞かされたのです。
「この前の靴代のこと、彼から聞いてる?」
「え、靴代って?何も聞いてないけど」
母によると、彼が以前から欲しがっていた7万円の靴を見つけたものの、今月は支払いが重なっているため、代金を立て替えてほしいと頼まれたそうです。
「次の給料日に返すって言ってたから、私が払ったの。そのうちでいいって言ってあるから、心配しなくていいよ」
母は気にしていない様子でした。しかし、私は素直に受け止められませんでした。
彼が自分から母に7万円ものお金を借りていたことも、それを私にひと言も話していなかったことも、引っかかったのです。
靴の箱を前に黙りこんだ夜
その夜、居間に入ると、彼はソファに座って新しい靴を箱から出し、満足そうに眺めていました。
私は向かいに腰を下ろし、母から電話があったことを伝えました。
「この靴、母に7万円立て替えてもらったんだって?」
「ああ、あれね。かっこいいでしょ」
「かっこいいかどうかじゃなくて。母に払わせたの?」
彼は少し不機嫌そうな顔になりました。
「払わせたって言い方、やめてくれる?お母さんがいいって言ったんだから、いいでしょ」
「私には、ひと言もなかったよね」
「そのうち返すって言ってあるし。いちいち報告することじゃないでしょ」
私は彼の言い分を聞きながら、ますます納得できなくなりました。
母が自分の意思で立て替えたことは分かっています。
それでも、生活に必要なものでもない高額な靴を買うために、恋人の母親を頼るのは違うと思ったのです。
「でもさ、7万円って簡単に借りていい金額じゃないよ。どうして自分のお金で買えるときまで待たなかったの?」
「だから、給料日に返すって。お母さんだって嫌がってなかったじゃん」
「母が断らなかったからって、甘えていいわけじゃないでしょ」
彼は面倒そうに肩をすくめました。
「そんなに怒ること?お母さんとは家族みたいなもんだし、別にいいじゃん」
その言葉を聞いた瞬間、私ははっきり伝えようと思いました。
「母は、あなたの財布じゃないよ」
彼の手が、靴の箱の上で止まりました。
私は落ち着いた声で続けました。
「母があなたによくしてくれるのは、私の大切な人だからだよ。それを当たり前だと思わないでほしい。7万円もする靴が欲しいなら、自分でお金を用意してから買えばよかったでしょ」
「……別に、当たり前だなんて思ってないけど」
「だったら、ちゃんと約束した日に返して。それと、これからは母に高い買い物のお金を頼むのはやめてほしい」
彼は何か言い返そうとしましたが、結局、言葉が出てきませんでした。
しばらく靴の箱を見つめたあと、小さな声で「……分かった」と答えました。
数日後の給料日、彼は母のところへ行き、立て替えてもらった7万円を返しました。
その日の夕方、母から電話がありました。
「さっき、ちゃんと返してもらったよ。そんなに気にしなくてもよかったのに」
母は笑っていましたが、私はようやくほっとしました。
それ以来、彼が母に高額な買い物の代金を立て替えてもらうことはなくなりました。
母と彼の仲が悪くなったわけではありません。ただ、どれほど親しくても、お金のことではきちんと一線を引く必要がある。あの出来事を通して、そう強く感じました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














