「これ、給油機がおかしいんじゃない?」と詰め寄る女性。だが、社員が確認したあと、声の勢いが変わった理由
給油機の前から聞こえた怒った声
学生時代、私はセルフ式のガソリンスタンドに併設されたコンビニでアルバイトをしていました。
ある日の夕方、上がりの時間を前に、給油機のそばにあるごみ箱の袋を取り替えていたときのことです。
「ちょっと、ガソリンこぼれたんだけど。どうなってるの?」
驚いて振り返ると、50代くらいの女性が給油ノズルを戻したところでした。
車の給油口の下が濡れ、あたりにはガソリンのにおいが漂っています。
「大丈夫ですか?お洋服にはかかっていませんか?」
私が声をかけると、女性は給油機を指しました。
「店の給油機のせいでしょ。これ、ちゃんと大丈夫なの?」
私には原因を判断できません。
「確認しますので、少々お待ちください」
そう伝えて店内へ戻ると、ちょうど社員さんがレジの応援から戻ってきたところでした。
「外のお客さんが、ガソリンがこぼれたって怒っていて…。給油機のせいじゃないかって」
「わかった。すぐいくよ」
社員さんはすぐに必要なものを持ち、私と一緒に外へ向かいました。
「拭けばいいって話じゃないの」
社員さんは女性に会釈すると、まず車の給油口の下や地面を確認し、こぼれたガソリンを処理し始めました。
「お待たせしました。まず、こちらをきれいにしますね」
しかし女性は納得していない様子です。
「拭けばいいって話じゃないの。店の給油機のせいでしょ?」
先ほどと同じ言葉を、今度は社員さんに向けて繰り返しました。
「機械のほうも確認しますね」
社員さんは言い返すことなく、給油機の表示やノズルの状態を確認していきます。
私は少し離れたところから、その様子を見ていました。
社員さんが静かに指したもの
確認を終えた社員さんは、給油機のそばに貼られた注意書きに手を添えました。
「満タンになると、給油は自動で止まるようになっています。ただ、止まったあとに継ぎ足したり、ノズルの入り方によっては、あふれてしまうことがあるんです」
責めるような言い方ではありませんでした。
女性は注意書きと給油機を交互に見ながら、黙って社員さんの説明を聞いていました。
社員さんも「お客様の使い方が悪い」と決めつけることはなく、同じ説明をもう一度、ゆっくり伝えました。
しばらくすると、女性の声から先ほどまでの勢いがなくなりました。
その後はそれ以上強く言うことなく、精算を済ませて車で出ていきました。
車が見えなくなると、社員さんは片づけをしながら私を見ました。
「呼んでくれて助かったよ。こういうときは、ひとりで何とかしようとしなくていいからね」
怒っているお客さんを前にしても、原因を決めつけず、まず安全を確保してから一つずつ確認する。そのときの社員さんの落ち着いた対応が、今でも印象に残っています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














