「因果応報よね、どんまい」1年間1度も学校の役員を手伝わなかったママ友。だが、翌年の役員決めでママ友に待っていた結末とは
推薦してきたのは誰だったか
「フォローするから」
そう言われて本部役員を引き受けたのが、思えばすべての始まりだった。
子どもが小学校に上がって間もない頃、あるママ友から保護者役員への推薦があった。
不安を口にすると「大丈夫」と繰り返し背中を押された。引き受ける前にいちばん気がかりだった「一人で抱えることになったら」という懸念を、その言葉が払ってくれたのだと思う。
それが、すべての誤算の始まりだった。
しかし最初の役員会から、その人の姿はなかった。
「急な用事で」という一言だけが届いていた。翌月も、その次の月も、理由は毎回変わったが結果は変わらず欠席が続いた。
資料の確認を依頼しても反応は薄く、当日の準備や当番作業はほぼ全員で肩代わりすることになった。
気がつけば、「あの人の分」を計算した上で当日のシフトを組むのが当たり前になっていた。誰も直接は言わなかった。それでも、その人の話題になるたびに役員の誰かが苦い顔をした。
時折「声をかけてみる?」という話も出たが、結局はそのままになっていった。1年間で出席は一度もなかった。みんな同じ気持ちを持て余しながら、その1年を走り切った。
くじが引き当てた名前
年度末の会議で、翌年の役員をくじ引きで決めることになった。候補者が順番に手を伸ばす。
紙を広げたとき、本人の手が止まった。
「会長…」
周囲がその一言を聞いた瞬間、誰も笑わなかった。
だが、場の空気が明らかに変わった。役員たちがぽつりぽつりと目を合わせ、小さくうなずき合う場面があった。同席していた学校の担当者もほんの少しだけ目を伏せた。
1年間1度も出席しなかった人が、よりによって会長を引いた。
場が落ち着いてから、隣にいた役員が小声で言った。
「因果応報よね、どんまい」
責め立てるのでも怒鳴るのでもなく、くじという仕組みがそこに落とし前をつけた。
誰かを悪者にするのではなく、ただ運が答えを出した。1年間みんなで積んできた疲労が、静かに散っていく感覚があった。
スカッとという言葉が似合うような、でもそれより少し落ち着いた晴れやかさだった。
誰も声を荒げなかったし、笑い飛ばしもしなかった。ただ、場の空気が変わった。その静かな変化が、1年間みんなで抱えてきたものへの、ちょうどいい答えだったのだと思う。あの瞬間に集まっていた空気を、今もたまに思い出す。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














