「若い人たちが集まるのはいいんですが」深夜、隣の家の玄関先で話すグループ。だが、隣のご主人に相談した結果
眠れない夜を数えた夏
夏になると、僕は寝室の窓を開けて眠る。
一戸建ての二階で、網戸越しに入ってくる夜風が好きだった。ところがこの夏は、風と一緒に隣の家から話し声まで聞こえてくるようになった。
夜中の1時をすぎるころ、隣の家の玄関先に、息子さんの友人たちが集まってくる。
5人ほどで笑ったり話したりし、その声が2時間ほど続くこともあった。隣は家族が多く、息子さんは20代くらいの青年だ。
何度か続いたため、気になった夜をカレンダーに印をつけてみた。
数えると週に3度ほど。翌朝まで疲れが残る日も増えていった。
ある晩、玄関灯の下で若者たちが楽しそうに話しているのを、僕は二階の窓から見下ろした。
本人たちは、こちらまで声が響いていることに気づいていないように見えた。
窓から注意するのは避けたかった。そこで、まずは隣のご主人に、自分が困っていることとして伝えてみようと決めた。
荷物を積む手が止まった朝
週末の朝、隣のご主人が車の荷台に荷物を積んでいた。50代くらいで、僕と年の近いご近所さんだ。僕は家の前の道に出て、声をかけた。
「おはようございます。ちょっと相談してもいいですか」
「はい。どうしました?」
責めるような言い方にならないよう、僕は少し間を置いてから話した。
「夜中の1時すぎに話し声がして、週に3回くらい眠れない夜があるんです」
ご主人は驚いたように僕を見た。
「玄関先の声が、うちの寝室までけっこう響いていて。若い人たちが集まるのはいいんですが、遅い時間だけ少し気をつけてもらえると助かります」
ご主人は持ち上げかけていたクーラーボックスを地面に下ろし、自宅の玄関のほうを見た。
「…息子の友だちですね。そんな時間まで話していたんですか。すみません。息子にはちゃんと話します」
そう言って、ご主人は帽子を取り、頭を下げた。ちょうど通りかかった向かいの家の奥さんも、こちらに小さく会釈して通り過ぎていった。
その夜、隣の家から、ご主人が息子さんに何か話している声が聞こえた。言葉までは分からなかったが、しばらく話している様子だった。
翌日の昼すぎ、玄関のチャイムが鳴った。出てみると、隣の息子さんが少しうつむいて立っていた。
「夜中にうるさくして、すみませんでした。これからは、遅い時間は外じゃなくて家の中で話すようにします」
「わざわざ来てくれてありがとう。夜中だけ気をつけてもらえたら大丈夫です」
「父に言われるまで、全然気づいてなくて……」
息子さんは少し照れたように頭をかいた。
それから、カレンダーに新しい印をつけることはなくなった。夜中の玄関先は静かになり、僕はまた窓を開けたまま、朝まで眠れるようになった。網戸越しに聞こえるのは、虫の声だけだった。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














