「そんなの、誰だって書けるじゃない」1か月分の騒音記録を疑った上階の奥さんが、管理会社の次の説明に言葉を失った瞬間
夜10時を過ぎると響く音
夫と新築アパートの2階に引っ越して1週間ほどたったころ、全戸の郵便受けに管理会社からの注意文が入りました。
生活音に気をつけるように、という内容です。
越してすぐ、真上の3階にあいさつへ行ったときのことを思い出しました。そこには子どものいない夫婦と小さな犬が暮らしています。
奥さんはドアを少し開けただけで、私があいさつを終える前に黙って閉めてしまいました。
私たちもスリッパを履き、じゅうたんを敷き、夜は洗濯機を回さないようにしていました。
それでも夜10時を過ぎると、天井から「ドン、ドン、ドン」と、床を強くたたくような音が響くのです。犬が跳ねているような音も毎晩聞こえました。
「ねえ、これ、普通の足音じゃないよね…?」
「うん。何かで床をたたいてるみたいだな」
夫も困った顔をしましたが、実際に上で何をしているのかは分かりません。
数日後、階段で3階の奥さんに会いました。私が会釈すると、奥さんは上の段から言いました。
「うちのほうが先に住んでるの。静かにするのが普通でしょ」
「うちも、夜は気をつけていますけど…」
「うるさいから、管理会社にも言ったわよ」
奥さんはそのまま階段を上がっていきました。
私たちの音が気になるなら、お互いに気をつければいい話です。でも、あの天井からの音には困っていました。
そこで、その夜から音が聞こえた日付、時刻、続いた長さをノートに記録しました。
20分ほど続いた夜もあり、1か月分をまとめて管理会社に相談しました。
管理会社が伝えた、もう一つの相談
後日、双方の話を聞くため、管理会社の担当者が1階入口のホールに来ました。
ファイルを持った40代くらいの男性です。
担当者の前には3階の奥さんが立ち、私はその横にいました。少し離れた集合ポストでは、別の部屋の女性が郵便受けを開けていました。
奥さんは腕を組み、担当者に言い放ちました。
「床なんてたたいてないわよ。証拠でもあるの?」
担当者はファイルを開き、私の記録を確認しました。
「夜10時すぎに、強くたたくような音が聞こえたという記録が、この1か月で14回あります。長い日は20分ほどです」
「そんなの、誰だって書けるじゃない。生活音でしょ」
確かに、私の記録だけでは音の正体まで証明できません。
すると、担当者が続けました。
「実は、犬が吠えるような音について、別のお部屋からもご相談を受けています。最初の注意文も、そのご相談を受けてお配りしたものです」
「……え?」
奥さんは言葉に詰まり、組んでいた腕をゆっくり下ろしました。
私も驚きました。あの注意文は、私たちだけに向けられたものではなかったのです。
集合ポストの前から、女性の小さな声が聞こえました。
「やっぱり、そうよね…」
担当者は落ち着いた声で続けました。
「今後も音が続くようでしたら、契約の内容に沿って対応を検討します」
奥さんは顔を真っ赤にして私をにらみかけましたが、何も言わず階段を上がっていきました。
その夜から、あの強くたたくような音は聞こえなくなりました。
私たちはそのアパートで10年間暮らしましたが、階段で顔を合わせると、先に目をそらすのはいつも奥さんのほうでした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














