「代わっていただきたいです」→「ケチだよね〜」新幹線で窓側の指定席を譲った私に聞こえた嫌味。近くにいた年配女性が見逃さなかったこと
腕を組んで待っていた男性
連休中、新幹線で出かけたときのことです。
指定席の車両は満席。
私は事前に予約した2人掛けの窓側に座り、隣の通路側には若い男性が座っていました。
発車して間もなく、その男性が一度席を離れ、若い女性を連れて戻ってきました。女性は申し訳なさそうに身をかがめ、男性は隣で腕を組んで立っています。
「あの、席を代わってもらえませんか」
2人は連れですが、席が離れてしまったそうです。
女性の指定席は同じ車両の後ろのほう。私が窓側からそこへ移れば、2人が並んで座れます。
ただ、窓からの景色を楽しみたくて、わざわざ選んだ席でした。
迷っていると、男性が不機嫌そうな顔で口を開きました。
「代わっていただきたいです」
「すみません、この席がいいので…」
断ると男性は「チッ」と舌打ちして通路側の席に座り直し、足を揺らし始めました。
ときおり大きなため息も聞こえます。
女性は通路に立ったまま、私の様子をうかがっていました。
隣で落ち着かない動きが続き、私はとうとう居心地の悪さに耐えられなくなりました。
「……どうぞ、使ってください」
男性がひざを引いたところを通り、私は女性の席へ向かいました。
その背中に聞こえてきたのは、お礼ではありません。
「最初から代わってくれればよかったのにね〜。ケチだよね〜」
男性は窓のほうを向き、笑いながらうなずいていました。聞こえないふりをして席に着きましたが、悔しくてなりませんでした。
デッキへ向かう2人を止めた声
目的の駅が近づき、2人は荷物を持って席を立ちました。
降車するためにデッキへ向かい、私が移った席の近くを通りかかったときです。
通路をはさんだ席の年配女性が、ひざの上の本を閉じ、男性を見上げました。
「ちょっと、よろしいかしら」
「……はい?」
「あなたたち、代わってもらったなら、まずお礼でしょう。ケチだなんて、聞こえていましたよ」
落ち着いた声でしたが、私の席にもはっきり届きました。男性は何か言おうとして口を開き、そのまま黙り込みました。
隣の女性も気まずそうに荷物の持ち手を触っています。
近くの通路側に座っていた人たちも、小さくうなずいていました。男性は耳を赤くしてうつむき、2人は何も言わないままデッキへ向かいました。
年配女性が、座席越しに私を振り向きました。
「ゆずってあげて、えらかったわね」
私はうなずくことしかできませんでした。自分の希望を通せなかった悔しさは残りましたが、あのやり取りを見ていた人がいた。そのことが、少し救いになりました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














