「90分もあるの、この授業つまらなすぎる」オンライン授業中に本音を漏らした私。だが、教授の表情を見て青ざめた理由
音を消しただけで安心していた私
オンライン授業が始まったばかりの、大学生のころの話です。
昼の授業を、私は自分の部屋の机で受けていました。
ノートパソコンの画面には、60代くらいの男性教授と、ほかの学生たちの小さな顔が並んでいます。
私はヘッドホンをつけて、その前に座っていました。
当時の私は、オンライン授業の操作にまだ慣れていませんでした。
特にマイクについては、「パソコンの音を消せば、こちらの声も相手には聞こえない」と思いこんでいたのです。
授業が半分ほど進んだころ、教授の淡々とした説明を聞いているうちに、だんだんまぶたが重くなってきました。
私はパソコンの音量を一番下まで下げました。
ヘッドホンから何も聞こえなくなると、それだけで安心してしまったのです。
「これで大丈夫かな」
画面のすみに表示された時計を見ると、授業が終わるまでまだまだありました。
そこで、つい本音が口から出てしまいました。
「90分もあるの、この授業つまらなすぎる」
画面を見ると、教授はそのまま授業を続けています。
私は「やっぱり聞こえていないんだ」と思い、そのうち好きな歌まで小さく口ずさみ始めました。
気が緩んでいた私は、だんだん声も大きくなっていきました。
友人から届いたメッセージで気づいたこと
すると突然、机の上に置いていた携帯電話が何度も震えました。
見ると、同じ授業を受けている友人からメッセージが届いています。
「ちょっと、全部聞こえてる!」
「マイク!早く切って!」
その文字を見た瞬間、頭の中が真っ白になりました。
恐る恐るパソコンの画面へ目を戻すと、何人かの学生がこちらを見ています。
そして教授も、資料から顔を上げたまま、少し困ったような表情で止まっていました。
そこで初めて気づきました。私は音を消しただけで、マイクはずっとオンのままだったのです。
「うそ…」
慌ててマイクを切り、音量を元に戻しました。顔が一気に熱くなり、残りの授業はほとんど内容が頭に入りませんでした。
授業後、教授から呼び止められて
やがて授業が終わり、ほかの学生が次々と退出していきました。
私も逃げるように画面を閉じようとした、そのときです。
「ちょっとだけ残ってもらえますか」
教授に呼び止められました。
「…はい」
二人だけになった画面の前で、私は背すじを伸ばしました。
教授は少し間を置いてから、静かに言いました。
「マイクは、次から気をつけてくださいね」
「本当にすみませんでした……」
私が頭を下げると、教授は続けました。
「授業が長いというのも、よく伝わりました」
「……すみません」
もう一度謝るしかありませんでした。
ただ、教授の口もとがほんの少しだけゆるんで見えて、怒鳴られなかったことに少しだけ救われたのを覚えています。
その日以来、オンライン授業に入ったら、まずマイクの表示を見るのが習慣になりました。音が聞こえないことと、こちらの声が届かないことはまったく別なのだと、身をもって覚えた出来事です。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














