「そっちの都合なんか知らん」大雨でも配達を急かす男性。だが、上司が伝えた事実とは
大雨の中、「昼までに届けろ」と迫る男性
荷物を配達する会社の営業所で、電話の受付をしています。
災害級の大雨になった日のことです。朝から道路状況が悪く、営業所へ到着するはずのトラックにも遅れが出ていました。
事務室では、問い合わせの電話が鳴り続けています。
11時すぎ、男性から電話がありました。
「午前中指定の荷物、まだ来ないんだけど。今どこにあるんだ」
確認すると、その荷物はまだ営業所に届いていませんでした。
「申し訳ございません。大雨の影響で輸送に遅れが出ていて、お荷物もまだこちらに到着していないんです」
「午前中って頼んでるんだぞ。じゃあ昼までに届けてくれよ」
「申し訳ありません。まだ営業所に届いていないため、今の時点ではお届けする時間をお約束できません」
すると、男性の声が一段大きくなりました。
「だったら、なんで俺に連絡しないんだよ」
「遅れが出ているすべてのお荷物について、事前に個別のご連絡を差し上げるのは難しいんです」
男性は納得できない様子でした。
「物流なら3日先の荷物まで分かるだろ」
「輸送中のお荷物の状況は確認できます。ただ、天候や道路状況によって到着時間が変わることもありますので、数日前から正確なお届け時間を決めることはできないんです」
「言い訳はいい。そっちの都合なんか知らん」
何度説明しても、男性は「今日中では困る」「昼までに持ってきてくれ」と繰り返しました。
ほかの回線も鳴り続けています。受話器を握る手に力が入り、気づけば電話はかなり長くなっていました。
上司が確認した、男性の地域へ向かう道路状況
電話が60分近く続いたころ、50代の上司が私のところへ来ました。
長引いている電話に気づき、男性の住所を確認したうえで、その地域の道路規制情報を調べてくれたのです。
上司は画面を確認すると、私に手を差し出しました。
私は受話器を渡します。
「お電話代わりました。先ほど住所を確認しましたが、お客様の地域へ向かう橋が、今朝から大雨の影響で通行止めになっています」
それまで途切れず聞こえていた男性の声が、ぴたりと止まりました。
上司は続けます。
「現在は、その地域へ安全に配達へ向かえる状況ではありません。お荷物が営業所へ到着し、道路の規制が解除されましたら、順次お届けいたします」
少し間が空きました。
「…橋、通れないのか」
「はい。ですので、今は配達員を向かわせることもできません」
男性はしばらく黙ったあと、小さな声で言いました。
「……分かった」
上司は責めるような口調にはせず、最後にこう伝えました。
「お客様も、今日は外出される際は十分お気をつけください」
そのまま電話は切れました。
上司は受話器を置くと、私を見ました。
「長かったな。次からは30分くらいで代わるから、一人で抱えなくていいよ」
張りつめていた力が、ようやく抜けました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














