「これだけだから、すぐ終わるでしょ?」レジに割り込んだ女性に、店員さんが伝えた正論
空いたレジに横から伸びてきた手
残業を終えた帰り道、三十代の私は駅前のコンビニで明日の朝ごはんを選んでいました。
ヨーグルトとサンドイッチを持ってレジへ向かうと、そのときはほかに待っている人はいませんでした。商品を台に置き、財布を取り出そうとした、その瞬間です。
左側から手が伸びてきて、ペットボトルのお茶と小さなパンが、私の商品の横に置かれました。
驚いて見ると、七十代くらいの女性が私のすぐ隣に立っています。
「ごめんなさいね。急いでるのよ」
女性はそう言うと、私より先に会計してもらおうとするように、少し前へ出ました。
突然のことで、私は何と返せばいいのか分かりませんでした。
「あの…」
声をかけようとすると、女性は焦った様子でもう一度言いました。
「ほんとに急いでるのよ。これだけだから」
二品だけなら、譲ってしまったほうが早いのかもしれない。そう思い、私は財布を持ったまま少し身を引きかけました。
店員さんが示した「順番」の張り紙
すると、レジにいた若い男性店員さんが女性に声をかけました。
「すみません。こちらのお客さまからお会計しますので、少しお待ちください」
女性は眉を寄せました。
「でも、これだけよ。すぐ終わるでしょ?」
店員さんは声を荒らげることなく、レジ横に貼られた案内を手で示しました。そこには、会計は順番に案内する旨が書かれていました。
「申し訳ありません。順番にお会計していますので、こちらのお客さまのあとにお願いします」
はっきりそう言われると、女性は張り紙を見上げました。
少し間を置いてから、「……分かったわ」と言い、お茶とパンを持ち直して私の後ろへ移りました。
店員さんはそのまま私の商品をレジに通します。
「ヨーグルトのスプーン、お付けしますか?」
「お願いします」
いつも通りのやり取りに戻り、それまで少し張りつめていた気持ちも落ち着きました。
私の会計が終わると、店員さんはすぐに女性の商品を受け取りました。
「お待たせしました」
女性はそれ以上何も言わずに支払いを済ませ、商品を受け取ると足早に店を出ていきました。
女性にも、本当に急ぐ事情があったのだと思います。それでも、すでに会計をしようとしている人の横から商品を置かれれば、戸惑ってしまいます。
女性を強く責めるわけでもなく、だからといって曖昧に譲るわけでもない。順番だけを落ち着いて伝えた店員さんの対応が、今でも印象に残っています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














