「やっぱりお菓子はいらない、レジ打ち直して」3回目のやり直しで列を止めた男性。だが、店長が落ち着いて伝えたこと
1回では終わらなかった会計
残業を終えた帰り道、夕飯の弁当を買いにコンビニへ入りました。
夜も遅く、開いているレジは1台だけ。20代くらいの女性店員がひとりで会計をしていました。
先頭にはスーツ姿の40代くらいの男性がいて、私はそのうしろに並んでいました。
さらに私のうしろにも4人ほど客が続いています。
男性は一度支払いを済ませましたが、袋詰めの途中でペットボトルの飲み物をレジ台へ戻しました。
「これ、やっぱりいらない」
「かしこまりました。少々お待ちください」
店員はレシートを確認しながら、返金の処理を始めました。
ようやく終わったと思ったところで、男性は「ちょっと待って」と言い残し、売り場を一回りしてパンやお菓子、本などを抱えて戻ってきました。
店員がもう一度商品を読み取ると、男性は今度はパンを押し戻します。
「あ、パンはいいや。外して」
店員は黙って画面を操作し、内容を訂正しました。
ところが、その処理が終わった直後、男性はお菓子の袋にも手を伸ばします。
「やっぱりお菓子はいらない、レジ打ち直して」
元のレジに残ったのは男性だけ
自動ドアが開くたびに、うしろの列は長くなっていきました。
店員が慎重にレシートと画面を確認していると、男性がいら立った声を出しました。
「まだ終わらないの?」
「申し訳ありません。もう少々お待ちください」
「遅いな。早くしてよ」
男性はそう言ってレジ台を強くたたきました。
うしろでは腕時計を見る人や、小さく息をつく人もいます。私も弁当を抱えたまま、その場から動けませんでした。
すると、店の奥から40代くらいの男性の店長らしき人が出てきました。女性店員の手元とレシートを確認すると、隣のレジを開けます。
「お待ちのお客様、こちらへどうぞ」
並んでいた客が次々と隣のレジへ移り、私もそちらへ向かいました。
店長は会計を始める前に、男性へ落ち着いた声で伝えました。
「こちらは3回目のお取り消しですので、確認しながら進めます。お待ちのお客様は隣でお会計しますね」
列がすべて隣へ移ると、元のレジの前に残ったのは男性ひとりでした。
さっきまで急かしていた男性は何も言わなくなり、女性店員が処理を終えるのを黙って待っていました。
最後の取り消し処理が終わると、男性は袋をつかみ、うつむき気味に店を出ていきました。
店長は女性店員に小さな声で言いました。
「大丈夫。ちゃんと確認できてたよ」
店員はほっとしたように息を吐き、背すじを伸ばしました。そして次の客が来ると、いつものように「いらっしゃいませ」と声をかけていました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














