「香典のことは、私に任せてちょうだい」10年間顔を見せなかった義姉。だが、父の通夜で見せた一面に絶句
同級生だった義姉
兄の妻は、私と同じ中学に通っていた人です。当時から人あたりがよくて、いつも輪の中心にいました。
兄と結婚すると聞いたときは、素直に嬉しかったんです。
印象が変わったのは、父が病気で動けなくなってからでした。義姉の家から父の家までは徒歩1分です。
それでも10年のあいだ、義姉が父の枕元に座ったことはほとんどありませんでした。
「お義父さんの弱ったところ、私、見ていられなくて」
「あなたのほうが慣れてるでしょう。私が行っても邪魔になるだけだし」
会うたびに聞かされるのは、そういう言葉です。そのあとにはたいてい、新しく始めた習い事や旅行の話が続きました。
通夜の記帳台の脇で
父の通夜の受付には、私と叔母が座りました。義姉が来たのは、参列の方が途切れたころです。記帳台の脇に立って、香典袋の入った箱に手をかけました。
「香典のことは、私に任せてちょうだい」
「あなた、今日はいろいろあって疲れてるでしょう」
うしろから兄も来て、箱の反対側を持ちます。
「まとめて数えて、返礼はうちで手配するよ」
叔母が帳面を開いたまま、二人を見ました。
「金額はここに全部書いてあるけど、あとで突き合わせるのはどなた?」
義姉の手が、箱から離れました。
ちょうど斎場の担当の方が書類を持って近づいてきて、静かに一言添えます。
「ご香典の管理は、喪主様のお名前でお願いしております」
誰も声を荒らげなかった
喪主は私でした。
義姉は箱に触れないまま、一歩下がります。
「別に、取ろうとしたわけじゃないのよ」
「わかっています。ここは私がやりますね」
叔母が帳面を閉じて、私の横に置いただけでした。誰も声を荒らげていません。
それでも、記帳台のまわりにいた親戚が義姉と私を見比べていたのは、はっきり分かりました。
「10年、通ってたのはこの子だけだからね」
叔母がそう言うと、義姉は返事をせずに会釈をして、いちばん後ろの席へ戻っていきました。
焼香が始まっても、受付の机には近づいてきません。兄も箱には二度と手を伸ばしませんでした。
徒歩1分の道を10年歩かなかったことは、その場にいた全員が知っています。
四十九日を過ぎてから、義姉が私に連絡をよこしたことは一度もありません。法事で顔を合わせても、先に目をそらすのはいつも義姉のほうです。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














