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2026.09.17(Thu)

「入店証は家に忘れた」と言い張った男性。確認できず帰った一週間後、受付に届いた一通の紙

「入店証は家に忘れた」と言い張った男性。確認できず帰った一週間後、受付に届いた一通の紙

入店証を持たずに来た男性

私が三十代で受付をしていた店は、業務用の商品を扱う会員制の店だった。

入口では会員であることを確認する決まりで、入店証を忘れた人には、受付で名前や登録情報を確認するための手続きをお願いしていた。

週末の昼過ぎ、カートを押す人の列が途切れない時間に、年配の男性が受付へやってきた。

男性は胸ポケットを確かめるように触ってから、少し困った顔で私を見た。

「ああ、入店証は家に忘れた」

「そうでしたか。では、こちらで登録を確認しますので、お名前と登録されているお店のお名前をお願いします」

すると男性は、少し面倒そうに眉を寄せた。

「いや、だから家に忘れたって言ってるだろう。ちゃんと登録してるよ。店のオーナーなんだから」

「はい。ただ、入店証がない場合は、こちらで登録を確認してからのご案内になるんです」

「責任者に聞けば分かるだろ。急いでるんだよ」

後ろには何人か待っている人もいた。私も気にはなったが、確認できないまま通すわけにはいかなかった。

「申し訳ありません。確認が取れればすぐにご案内できますので、お手続きだけお願いします」

「買うものも決まってるのに……面倒だな」

男性はそうつぶやきながら、しぶしぶ名前を書いた。

ところが、登録している店の名前を聞くと手が止まった。

「お店のお名前もお願いできますか」

男性は黙ったまま財布を開き、中を探し始めた。

「ほかに登録内容を確認できるものがあれば、それでも確認します」

しばらく財布の中を見ていた男性は、やがて小さく息を吐いて財布を閉じた。

「……もういい。今日は帰る」

「よろしいですか?」

「いいよ。こんなに時間がかかると思わなかった」

男性はそう言うと、列の横を抜けて出口へ向かった。

交代の時間になり、私は次の担当者にも分かるよう、引き継ぎのノートにその日の出来事を残した。

入店証を忘れた男性が来店し、名前は確認できたものの、登録している店の名前までは確認できず、そのまま帰ったことを書いておいた。

一週間後に届いた苦情

それから一週間ほどたったころ、主任が一枚の紙を持って受付へ来た。

「この日のこと、覚えてる?」

紙には、「受付で入れてもらえなかった」という苦情が書かれていた。

日付を見て、私はすぐにあの男性のことを思い出した。

「はい。入店証を忘れたと言っていた方だと思います」

主任は引き継ぎのノートを開いた。

「登録している店の名前は聞いたんだよね?」

「はい。でも、そこは教えていただけませんでした」

「そうか……こっちにも書いてないんだよ」

主任が見せてくれた苦情の紙には男性の名前はあったが、登録しているという店の名前はどこにも書かれていなかった。

本当に登録店のオーナーだったのか、それとも何か別の事情があったのか。私には分からないままだった。

主任はノートの記録をもう一度確認すると、静かに言った。

「確認できないまま入ってもらうわけにはいかないからね。あの日の対応で大丈夫だよ」

「よかったです。少し気になっていたので……」

主任はうなずき、そのまま事務所へ戻っていった。

結局、あの男性が本当に登録店のオーナーだったのかは、最後まで分かりませんでした。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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